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日本郵政GとヤマトGが協業に基本合意

2023.06.22

日本郵政グループとヤマトグループは19日、物流を巡る社会課題の解決に貢献するとともに、持続可能な物流サービスを推進していくことを目的に協業していくことで合意し、基本合意書を締結した。第1弾として、ヤマトのクロネコDM便を2024年1月末に終了し、日本郵便の「ゆうメール」のネットワークを活用した新サービスに移行。また、ヤマトのポスト投函型宅配サービス「ネコポス」も今年10月からサービスを順次終了し、日本郵便の「ゆうパケット」を活用した新サービスに段階的に移行する。

同日、都内で開かれた記者会見で、日本郵政の増田寛也社長は「両社の経営資源を有効活用することで、顧客への利便性向上と事業成長を図るとともに、相互にネットワークやリソースを活用し合うことで、『2024年問題』の解決やカーボンニュートラルに貢献していく」と協業の目的について説明。ヤマトホールディングスの長尾裕社長は「経営資源をいかに有効活用するかが最大の経営マターになる中で、ポスト投函型サービスでもっとも優れたネットワークを有する日本郵政グループにお願いするのが自然だと判断した」と述べた。

投函型商品で郵便ネットワークを活用へ

具体的な協業内容は、まずヤマト運輸が取り扱っているクロネコDM便のサービスを24年1月末で終了し、同年2月から日本郵便のゆうメールのネットワークを活用した新サービス「クロネコゆうメール(仮称)」に移行する。ヤマト運輸が顧客から集荷した荷物を日本郵便の引受地域区分局に差し出し、日本郵便の配送網を使って配達する。

ヤマト運輸の小型薄型荷物を対象としたポスト投函型サービス「ネコポス」についても、今年10月からサービスを順次終了し、日本郵便のゆうパケットのネットワークを活用した「クロネコゆうパケット(仮称)」に移行する。こちらもヤマトが顧客から集荷した荷物を日本郵便の引受地域区分局に差し出し、日本郵便が配達業務を担う。24年度末(25年3月末)までをメドに、すべての地域で新サービスに移行していく計画。

長尾社長「限られたリソースをどこに振り向けるか」

協業の第1弾として、ポスト投函型の2つのサービスを日本郵便のネットワークに委ねる判断をしたことについて、長尾社長は「ヤマトの最大の強みは〝ハコ〟の宅配であり、ポスト投函型サービスのネットワークや安定性は正直、日本郵政グループには敵わない」と認めた上で、「長い目でビジネスを見ていく中で、限られた経営資源をどこに振り向けていくべきなのか、どこかのタイミングで判断すべきと考えていた。その意味で『2024年問題』を抱えたこのタイミングでの意志決定は妥当だと思う」との考えを示した。

日本郵政の増田社長は「当社の荷物は20年度をピークに取扱数量が減少しており、数量のトップラインを引き上げることが大きな経営課題だった」と述べた上で、22年度実績で約8億冊のクロネコDM便と、約4億個のネコポスが実績に加わることの意義を強調。ヤマト側から徴収する委託料は今後決定していくが、計1200億円程度(クロネコDM便約500億円、ネコポス800億円弱=22年度実績)のうちの一定程度が日本郵便の増収分として寄与してくるとした。

第2弾として、クール便分野での協業を検討へ

ヤマト運輸の鹿妻明弘専務執行役員は、今回の協業の基本的な考え方について「今、日本に存在するリソースをいかに有効に活用するかという観点に立った」と説明。その結果、全国に約8万2000台の2輪車、約3万台の軽4輪を配備している日本郵便の2輪・軽4輪ネットワークの優位性を活かし、メール便や小型薄型荷物を日本郵便のネットワークに集約する考え方に至った。

一方、ヤマト運輸は全国に約3万5000台の2t・4t車を配備しており、その95%がクール設備(保冷室)を完備していることが強みだとして、「協業の第2弾として、このネットワークを活用して冷凍・冷蔵荷物の拡大を図っていくこともアイデアとして検討していく」と述べた。
(2023年6月22日号)


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