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MonotaRO、自社在庫がない商品も当日出荷可能に

2022.11.29

MonotaRO(モノタロウ、本社・兵庫県尼崎市、鈴木雅哉社長)は、受発注管理システムを活用して自社倉庫と取引先であるサプライヤーの倉庫の在庫情報を連携し、欠品防止や、自社に在庫のない商品を当日出荷するための取り組みを進めている。24日に都内で開催したサプライチェーン・マネジメントの高度化戦略に関するプレス向け説明会で明らかにした。今後は連携する取引先のサプライヤーを増やすことで、欠品率のさらなる改善を目指す。

モノタロウでは自社倉庫での在庫点数増加に向け、物流拠点の増強を進めている。茨城県の「笠間ディストリビューションセンター(DC)」(茨城県茨城町)「茨城中央サテライトセンター」(茨城県笠間市)に加え、今年4月には大型物流施設「猪名川DC」(兵庫県猪名川町)を稼働。現在、自社の物流拠点に約51万1000点の商品在庫を保有しており、これは2015年と比較して約2倍の在庫点数になる。在庫がある商品は受注後に自社倉庫から直接ユーザーへ出荷することで、商品の当日出荷を実現している。

一方で、自社倉庫に在庫がない商品は取引先のサプライヤーへ発注し、取引先の倉庫からモノタロウの倉庫を経由してユーザーへ出荷していたことから、リードタイムの長期化に加え、追加的な配送費が発生していた。また、自社倉庫に在庫がある商品でも、注文数に対して在庫数が足りない場合は、同様に取引先倉庫からモノタロウの倉庫への出荷してもらう必要があったため、当日出荷ができないなどの課題があった。

モノタロウではこうした課題を解決するため、今春から「在庫連携/新受発注管理システム(OMS)」を活用した「引当出荷倉庫オプション」の取り組みを開始。モノタロウの自社倉庫内の在庫情報と取引先倉庫の在庫情報を連携することで常に商品の在庫状況を把握し、受注後に在庫のある倉庫から商品を出荷する仕組みを構築した。

具体的には、モノタロウの倉庫に在庫がない場合、取引先倉庫に受注を引き当て、モノタロウが手配した配送業者が取引先倉庫から直接ユーザー向けに出荷することで、当日出荷を可能にする。また、受発注に対してモノタロウ側の在庫量が足りない場合でも、必要な在庫数を確保している取引先倉庫から直接出荷する。モノタロウではまず、1社の取引先倉庫と在庫情報を連携する「引当2・0」の運用を今春から開始。現在は複数の取引先と連携することでさらに欠品率を改善する「引当3・0」を試験的に運用しており、本格的な運用は来年以降を予定している。

説明会にはモノタロウの田村咲耶執行役サプライチェーンマネジメント部門長が出席。システム連携の方法について「基本的にはモノタロウが使用しているOMSをサプライヤーに提案し、使っていただく形となっている」と説明。連携の効果については「欠品状態を防いだことと、納期が短縮されたことで2ケタ%程度の売上増につながった商品もある。注文の増加が期待できることから、多くの取引先は在庫情報の連携に前向きな姿勢を見せている」と述べた。また、今後の目標として「システムの運用をさらに拡大し、多くの取引先と連携することで、欠品率の30%改善を目指す」としている。

26年に茨城・水戸に新拠点

投資額は約400億円

同社は今後、関東方面への出荷能力と在庫保有能力の増強を目的に、茨城県水戸市で新たな物流センターを建設する。26年3月の竣工を予定しており、投資額は約400億円を見込む。茨城県に施設が集中している理由として、田村氏は「オペレーションがしやすい大きな平屋建ての施設が建てられることや、常磐道があるため首都圏へのアクセスが良く、輸入港である常陸那珂港もあるなど、様々な面を考慮すると茨城が最適な立地だった」と説明した。

(2022年11月29日号)


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