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【ズームアップ】物流負荷軽減へ納品期限緩和が拡大

2022.11.15

食品ロス削減や物流の負荷軽減の切り札となる「納品期限の緩和」を進める事業者が大幅に増加している。農林水産省の発表によると、納品期限の緩和に取り組む事業者は昨年と比べ1・3倍に増え、「賞味期限表示の大括り化」「賞味期限の延長」の取り組みも増加。ウクライナ情勢に端を発した食糧不足や物価高騰による食品価格の高騰、それに物流の「2024年問題」対策への関心も相まって、商慣習の見直しが急速に進展しつつある。

商慣習が食品ロスや物流の負荷に

サプライチェーンにおいては、賞味期間の3分の1以内で小売店舗に納品する慣例、いわゆる「3分の1ルール」があり、賞味期間の3分の1以内で納品できなかったものは、賞味期限まで多くの日数を残すにも関わらず廃棄となる可能性がある。この厳しい納品期限を緩和することは食品ロスの削減につながるだけでなく、物流センターでの作業やトラックドライバーの負担軽減にも寄与できる。

多くの商品の賞味期限は年月日で表示されているが、賞味期限を年月のみまたは日まとめにするなど大括り化して表示することにより、在庫商品と納品する商品の賞味期限の差が解消され、食品ロスの削減につながることが期待される。物流面では、日付管理から月管理になることで保管スペース、荷役業務、品出し業務等が効率化され、拠点間転送の削減も可能となる。

納品期限、ルールの統一が効率化のカギ

納品期限の緩和や賞味期限表示の大括り化の前提となるのが、賞味期限の延長だ。この3つの取り組みは“三位一体”で取り組むことが望ましいとされ、農水省では10月30日の食品ロス削減の日を「全国一斉商慣習見直しの日」とし、納品期限の緩和や食品製造事業者における賞味期限表示の大括り化、賞味期限の延長、さらには食品事業者におけるフードバンク・子ども食堂等への食品の提供を呼び掛けた。

農水省が10月末までに取りまとめた結果、納品期限を緩和(または予定)している食品小売事業者は、食品スーパーなどで昨年度から57事業者増加し、243事業者まで増えた。賞味期限表示の大括り化に取り組む食品製造事業者は、45事業者増加し、268事業者、賞味期限延長に取り組む食品製造事業者は179事業者となった。食品ロスや物流問題への意識の高まりを背景に商慣習の見直しは着実に進んでいる。

一方で、課題もある。納品期限が「2分の1」に緩和する事業者が増えても「3分の1」ルールが混在することで物流の非効率が生じるためだ。納品期限ルールが複数あると、「物流業者に日付指定で出荷を依頼することになり、ドライバーも日付の仕分けをしながら荷下ろしするなど労働時間に影響する」(食品製造事業者)ため、「2分の1」ルールへの統一を“一斉実施”することへの期待も高まっている。
(2022年11月15日号)


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