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ヤマトHD/JAL、フレーターを4路線・1日21便体制に

2022.11.29

ヤマトホールディングス(本社・東京都中央区、長尾裕社長)と日本航空(本社・東京都品川区、赤坂祐二社長)は22日、2024年4月から国内で運航開始するフレーター(貨物専用機)の運航路線および運航便数を決定した。運航路線は成田・羽田~北九州の往復、成田・羽田~新千歳の往復、成田→沖縄の片道、那覇→北九州の片道という4路線で、便数は21便/日を計画する。1日あたり10tトラックで100台相当の荷物をトラックからフレーターに移すことで、「2024年問題」で深刻化が予想される長距離での安定的な輸送力確保につなげる。

使用機材は、エアバス社のA321ceoP2F型機が3機。貨物の最大搭載重量は28tで、1機あたりの輸送力は10t車5~6台分に相当するという。これはヤマト運輸の場合、カゴ台車を使ってトラックに荷物を積載することで、荷物量自体は1台5t程度にとどまるため。搭載コンテナはメインデッキがAAYコンテナ14台、ロワーデッキがAKHコンテナ10台となる。

21便の振り分けは、成田・羽田~北九州で9便、成田・羽田~新千歳で10便、成田→那覇、那覇→北九州で各1便を計画。24時間運航が基本で、各空港の運用時間に沿ったオペレーションを行う。東京に関しては、日中帯については成田、深夜帯は羽田を活用する。また、成田→那覇→北九州→成田という形で一部、三角運航も計画している。

今回の事業スキームは、ヤマト運輸がフレーターをリースで調達し、運航をJALグループに委託する。今年1月時点では、JALグループのジェットスター・ジャパンが運航を担う計画だったが、今回、同じJALグループのスプリング・ジャパンに運航会社を変更した。変更した理由について日本航空の経営戦略部Modal Innovation Project推進室の西尾真治室長は「スプリング・ジャパンは中国からのインバウンド需要が中心のLCCであるため、コロナ禍において新たな事業の柱が必要だった」と説明した。また、今後は各空港でフレーター就航に伴う地上車両の導入や貨物上屋の整備などを進めていくほか、運航関連要員や貨物ハンドリング要員の新規採用などを進めていく。

なお、ヤマトが調達する機材については、すでに3機のうち2機の受領を完了しており、残り1機についても来年2月に受領予定。その後、3月からシンガポールで旅客機からフレーターへの改修作業を進めていく予定。

ヤマト運輸の経営戦略部Modal Innovation Projectシニアマネージャーの下梁亮一氏はフレーターを活用する目的について「現段階においては、新たな輸送商品をつくるということではなく、現状トラックで運んでいる宅急便などの一部をフレーターに移すことで安定的な輸送力を確保していく」と説明。「すでにある荷物を移すだけなので、100%に近いロードファクターを実現できる。その保証があるからこそ、フレーターを運航することが可能になった」と述べた。
(2022年11月29日号)


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