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NXHD/22年12月期2Q 増収増益、通期予想も上方修正

2022.08.18

NIPPON EXPRESSホールディングス(本社・東京都千代田区、齋藤充社長)の2022年12月期第2四半期業績は、実質的に大幅な増収増益となった。決算期変更に伴うプロフォーマ(試算)ベースでの比較では、売上高、利益とも2ケタの増収増益を達成。航空・海上フォワーディング事業が引き続き好調に推移し、日本を含む全リージョンで増収増益となった。好調な業績を踏まえ、通期予想も売上高、各段階利益で上方修正した。

売上高は1兆2989億3200万円、営業利益は677億3500万円、経常利益は716億8300万円、純利益は946億6400万円。プロフォーマベースでの前期比較では、売上高16・1%増、営業利益39・8%増、経常利益40・9%増で、純利益は旧汐留本社ビルの売却益を計上したため、約3・5倍となった。為替変動によるプラス影響は売上高で281億円、営業利益で17億円だった。

地域セグメントでは日本、米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニアの全リージョンが増収増益。このうち日本リージョンでは、国内物流が半導体不足などによる生産停滞で低調に推移したものの、航空・海上フォワーディングの高単価が継続したことがカバーした。10日、オンラインで会見した堀切智副社長は「航空・海運事業の需給が徐々に緩むとの当初想定だったが、思ったほど需給緩和が進まず、業績が上振れした」と述べた。

2Qまでの好調な業績を踏まえ、通期予想値を売上高、各段階利益とも上方修正。売上高を今年5月の前回予想値である2兆5500億円から2兆6000億円へ、営業利益を1100億円から1200億円へ、経常利益を1120億円から1250億円へ、当期純利益を1160億円から1250億円へそれぞれ引き上げた。堀切氏は「フォワーディング事業の需給ひっ迫に一部緩和が見られるなど潮目の変化が生じつつあるが、自動車産業や国内物流の回復が一定程度吸収するだろう」との見方を示した。

日本事業の構造改革でプロジェクトがスタート

オンライン会見の中で、現経営計画の柱のひとつである「日本事業の強靱化戦略」について堀切氏は、「間接部門コストや外注費削減で成果が出ているが、シェア拡大やトップラインの伸長がより重要であり、このテーマに注力する必要がある」と述べた上で、その方向性として「グローバルで事業を拡大することを起点に、東名大に経営資源を集中しつつ、各地域のマーケット特性に合わせた組織体制を再構築する」として、HD体制移行に続く第2弾のグループ体制変更の方向性を示唆した。

また、今年3月から日本事業の事業構造改革に向けたプロジェクトを発足させ、ロジスティクス事業改革、通運事業改革、小口貨物事業改革、内航海運事業改革、複合店事業改革、M&A戦略推進――の6テーマについて検討を開始していることを明らかにした。「部門を横断する120人の社員をメンバーに、24年からスタートする次期経営計画に向けた仕込みと捉えているが、ただちに対応すべき施策は早めに実行に移していく。従来業務の延長線上での改善ではなく、資本効率向上や事業ポートフォリオ最適化の視点から取り組んでいく」と述べた。

また、HD体制への移行により、事業ポートフォリオの検討やM&Aが進めやすくなったとして、現在は具体的な案件を多面的に探っている状況だと説明。さらに、事業ポートフォリオの最適化では、警備輸送事業を来年1月に分社化することが決まっており、引き続きグループ内で重複する事業や機能の整理統合を進めていく考えを示した。
(2022年8月18日号)


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