SBSHD/21年12月期 大幅増収増益、SBS東芝ロジ寄与
SBSホールディングス(本社・東京都新宿区、鎌田正彦社長=写真)の2021年12月期の決算は、SBS東芝ロジスティクスの連結寄与に加え、EC物流や3PL事業が堅調に推移したことで大幅増収増益を達成した。売上高は初の4000億円超となり、営業利益も200億円を突被した。
21年12月期の連結業績は、売上高4034億8500万円(前期比56・9%増)、営業利益207億600万円(88・9%増)、経常利益204億8900万円(88・3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益107億9000万円(58・1%増)だった。
主要セグメント別の実績は、物流事業が売上高3783億3500万円(57・1%増)、営業利益155億4600万円(2・5倍)。20年11月にグループ入りしたSBS東芝ロジスティクスの収益が通期で寄与した上、巣ごもり消費の拡大を背景としたEC関連物流が増加した。さらに、食品を含む日用品や生活必需品などの物流が堅調に推移するとともに、前の期に新型コロナの影響で落ち込んだ3PL物流も回復。海上・航空運賃の高騰もプラス要因となった。
不動産事業は売上高170億4300万円(82・3%増)、営業利益63億3300万円(38・9%増)。期中に、南港物流センター(大阪市)の信託受益権を譲渡したことで、前の期の実績を上回った。
22年12月期の連結業績予想は売上高4300億円(6・6%増)、営業利益215億円(3・8%増)、経常利益206億円(0・5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益117億円(8・4%増)を見込む。
主要セグメント別の計画は、物流事業が売上高4036億円(6・7%増)、営業利益139億円(10・6%減)。SBS古河物流の収益が加わるものの、本社移転や制服の刷新など一過性の費用やSBS東芝ロジスティクスのPMI費用増加などで減益予想とした。
不動産事業は売上高171億円(0・3%増)、営業利益75億円(18・4%増)。今期は「物流センター横浜金沢」(横浜市金沢区)の売却を計画する。
成長戦略は「EC物流で売上高1000億円」
18日に開かれた決算会見で鎌田社長は、中長期的な会社の成長ビジョンについて、「M&A」「(統合企業の)PMI」「IT×LT、物流施設」「事業開発、マーケティング」の4方針を掲げた上で、とくに事業開発では、主力の3PL事業におけるEC物流の取り込みに注力することを強調した。EC向け3PL業務の売上高は現在約400億円ほどだが、30年度までにさらに1000億円を積み増す計画。鎌田氏は「今からEC周りの仕事に戦略的かつ集中的に投資し、できるだけ早く1000億円をやりたい」とした。
実現に向けて、まずは社内の若手メンバーを中心にグループ横断プロジェクトを発足し、今年4月をメドに、大手企業向けと中小事業者向けのEC物流システムをリリースする。同システムでは店舗在庫などとの連動を可能にするほか、物流センター内での「ささげ(撮影・採寸・原稿)」や自動化機器によるピッキング作業などを想定する。同時に、倉庫内の自動化機器を安価に仕入れたり、物流センターも自社施設をベースに調達することで価格競争力を発揮し、同業他社との差別化要因としていく。
物流センターの22年度以降の増床計画は約20万1600坪で、「目標の100万坪が遠くない未来に実現する」と鎌田氏。EC物流での売上高1000億円達成には「倉庫が追加で10万坪など必要になる」として、施設の流動化と併せて開発を進めていく。
このほか、環境負荷低減策として、ラストワンマイル分野で小型EVトラックを国内で初導入。現在稼働するEC向けラストワンマイル車両約2000台を今後5年でEVに置き換えるとともに、協力会社にも導入を働きかけ、中期的には1万台をEV化するとした。
(2022年2月24日号)