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省エネ法荷主規制で「優良荷主」可視化=経産省

2022.02.01

経済産業省は、省エネ法でエネルギー使用量の報告を義務付けている「特定荷主」について、取り組み状況によって“格付け”する制度を導入する。総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会荷主判断基準ワーキンググループが報告を取りまとめた。エネルギー使用量をより精緻に算定できる方法に見直したうえで、ベンチマークを設定し、目標を達成した「優良荷主」を可視化する「荷主クラス分け評価制度」を2023年度以降に導入。省エネの成果を上げている荷主を適切に評価し、インセンティブを与えて取り組みを促す狙いがある。

算定ツール、今年度中に試験的提供開始

エネルギー使用量の算定方法の見直しでは、改良トンキロ法の「みなし積載率」の値についてより精緻に見直し、燃費が向上した車両を用いている場合には、改良トンキロ法を利用する荷主がその効果を反映できるようにする。また、積載量17t以上の大きな車両を選択することも増えてきたため、新たに区分を設ける。

自家輸送や委託輸送の専用便は、他貨物との按分等が不要で、比較的実測のエネルギー使用量が把握しやすく、燃料法や燃費法を選択することが望ましいとした。委託輸送の混載便でも燃料法や燃費法を用いている事例があり、こうした事例について横展開できるようベストプラクティスとして分析する。

省エネ法では5月から、「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」の運用を開始し、定期報告の作成や報告についてWebサイトから一元的に実施できるようにする予定。報告の集計を自動化するなど事業者の負担を低減することができる算定ツールを、21年度中に試験的に提供を開始する。

ベンチマーク目標、積載率が共通指標に

荷主規制では、特定荷主に対してエネルギー消費原単位の年1%改善を求めているが、特定荷主全体の原単位改善率は平均0・4%であり、改善の程度は鈍化。このためエネルギーの使用の合理化の状況を事業者間で比較可能とするベンチマーク指標を設定し、中長期的に目指すべき水準(ベンチマーク目標)を設ける。

エネルギーの使用に大きな影響を与える積載率は、荷主のみならず、貨物輸送事業者にとっても共通の指標として設定しやすく、かつ比較的把握しやすい。自動車輸送統計も活用しながら積載率に影響を与える品目や輸送距離等を考慮し、積載率とこれに影響を与える因子の関係性について分析を行い、ベンチマーク目標の設定を検討する。

また、工場・事業場等における事業者クラス分け評価制度を参考に、目標を達成した荷主を優良な荷主(Sクラス)として経産省ホームページで公表し、原単位が2年連続して悪化または5%以上悪化した荷主を省エネが停滞した荷主(Bクラス)として注意喚起等を行う「荷主クラス分け評価制度」を荷主規制でも導入。

見なし積載率や見なし燃費の見直し等によるエネルギー使用量の算定方法の適正化を踏まえた定期報告(22年度の実績の報告)が可能となるため、それらを踏まえ「荷主クラス分け評価制度」導入を検討する。ベンチマーク指標や目標を設定した分野から順次、ベンチマーク目標の達成状況もクラス分け評価において考慮する。

また、貨物輸送における省エネは、荷主を中心とした関係者間の連携が不可欠であることから、荷主が単独で取り組むことが困難な取り組みについては、関係者間の合意形成について課題の認識と克服の過程を、連携して省エネを進めるプロセスをベストプラクティスとして分析する。
(2022年2月1日号)


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