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泉北高速鉄道、北大阪TTに20万㎡の大型物流施設

2021.11.16

大阪府内で2ヵ所のトラックターミナル(TT)を運営する泉北高速鉄道(本社・大阪府和泉市、金森哲朗社長)は2025~26年をメドに、「北大阪TT」(茨木市)敷地内で延床面積約20万㎡、6階建ての大規模物流センター「Ⅱ期棟(仮称)」を開設する計画にある。TT内の再開発計画の一環で、Ⅱ期棟完成後にはさらに2棟の新物流センターを建設する予定にもある。

免震構造を採用した最先端の物流センターに

Ⅱ期棟は、平屋建ての7、8、10、11号棟を解体して、約20万㎡の大規模な物流施設を新設。1階部分には特積み会社の路線便ターミナル2本を構えることで、既存4棟分のターミナル設備を確保するとともに、全天候型施設としての機能も付与する。2階以上は片面バースとし、施設の両サイドにダブルランプウェイを設けて、各階へ直接アクセス可能とする。1フロアは奥行き80m程度の広さとなり、多様な用途で効率的な現場オペレーションを実現できる。

2階以上はマルチテナント型施設としての開発を想定するが、施設設計段階でのカスタマイズにも対応し、複数階を利用する場合にはフロア間をつなぐ垂直搬送機などの設置も可能。自動化・省人化機器も導入できるよう、十分な床荷重を確保する。建物は免震構造を取り入れることでBCPに対応し、屋上には太陽光パネルも敷設予定で、企業のSDGsへの取り組みにも貢献する。

1階が路線便のターミナルとなることで、2~6階に入居するテナント企業は路線会社の豊富な輸配送ネットワークをスムーズに利用できることも利点のひとつ。ドライバー不足が顕在化する昨今において、安定した“足回り”を確保できるのみならず、締め時間の後ろ倒しや横持ち輸送費の削減といった物流効率化効果が期待できる。

また、従業員確保の視点から、施設内には「ラウンジ」や「屋上テラス」といった “働く人の憩いのスペース”も積極的に設ける方針。物流業界でも活躍が期待される女性従業員の雇用にもつながるよう、福利厚生機能の充実を図る。

同所は後背地に住宅地が広がり、施設で勤務する人材は確保しやすい環境という。他方で、「流通業務市街地の整備に関する法律(流市法)」の適用地であることから、周辺の宅地化などを受けて物流センターとしての運用が難しくなる恐れはなく、“24時間365日稼働”の条件で、安定的かつ継続的に利用することができることも大きな特徴だ。

場所は大阪市内から約10㎞で、京都や神戸にも近く、三大都市への配送機能に優れた立地。大阪中央環状線・摂津北ICと、名神高速道路および中国自動車道・吹田ICから至近で、東日本と西日本の物流をつなぐ中継基地としても機能する。金森社長は「この好立地でここまでの規模の土地は他にない。大きな投資にはなるが、その需要は十分見込まれる」と自信を示す。

都心へのアクセス性能の高さから、すでに食品関係企業などの引き合いが多く寄せられるほか、北大阪エリアは製薬会社の工場も多く、医薬品物流の拠点としても需要が見込まれている。さらに、免震構造を採用した高機能物流施設として、精密機械をはじめとする高付加価値製品の物流にも適しているという。

2棟の新棟建設も計画東大阪TTの再開発も

Ⅱ期棟建設に先駆け、再開発計画の第1弾として昨年4月には、延床面積約5万㎡、4階建ての「1号棟」が完成。続く第2弾としては、隣接する大阪府食品流通センター内で「新A棟」(2万㎡)を今年5月に竣工。現在は「E棟」(5万㎡、4階建て)の建設中にあり、完成は23年を予定する。

これらの新施設とⅡ期棟の稼働で、北大阪TTの路線便ターミナルとして十分なキャパシティを確保できることからⅡ期棟完成後には、平屋建ての3、6、9、12号棟の建て替えも計画。9、12号棟を「Ⅲ期棟(仮称)」3、6号棟を「Ⅳ期棟(同)」として順次開発する予定にあり、これらの新棟は「完全にフリーな施設」(金森氏)として荷主企業や3PL会社へ提案していく考えだ。

併せて、同様に老朽化が進む東大阪TT(東大阪市)の施設再開発も検討していく。同所は現在フル稼働状態となっていることから、開発用の種地確保を進めている状況。将来的には北大阪TTと同じく、施設の高層化と高機能化を図り、大規模物流センターの開設も視野に入れる。  ■
(2021年11月16日号)


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