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ダイキンが「FUSION25」の物流テーマを説明

2021.10.21

ダイキン工業(本社・大阪市北区、十河政則社長)は14日、「全国物流サービス向上研修発表会」をオンラインで開催した。生地幹物流本部長が2021年度から25年度までの戦略経営計画「FUSION25」に沿った物流テーマとして、①生販物連携②物流の自動化・デジタル化の推進③環境負荷の低い包装技術開発④物流の共同化⑤物流サービスによる付加価値提供⑥グローバル各地域での物流力強化――の6つの主要取り組みを説明。続いて改善事例の発表や各種表彰式が行われた。

生販物連携、自動化・デジタル化を推進

生地氏は、「コロナ問題は従来から懸念されていた労働力不足、企業間・企業内の全体最適ができていないといった物流の諸課題を一気に顕在化させ、抜本的な対策を加速する必要が強まった」と指摘。戦略経営計画「FUSION25」のテーマのひとつに掲げられた「強靭なサプライチェーンの構築」について、「サプライチェーン全体の強靭性・効率性を徹底追求し、他社と差別化できる新たな価値提供と地球環境負荷低減に貢献する」ことを物流部門の「目指す姿」として示した。

物流テーマのうち、生販物連携では、「生産品を受注生産、補充生産、大量生産型に区分し、各生産指示情報に物流が持つ直近の在庫情報を反映していく。生産順位計画に、パレットまとめやトラック積み込み順位など物流効率を上げるための情報を反映し、無駄な仕分けや製品滞留が発生しない仕組みづくりを目指したい。最終的には、生産完成したものをその順番にパレタイズし、そのパレットに触れることなく、配送センターの棚に補充する仕組みの構築に向け、生産部門と協議を開始している」と報告した。

物流の自動化・デジタル化による工数削減では、「当社の製品のような重量品を扱う自動化技術が確立されていないが、生産との連携により整流化された物流を実現し、仕分け、積み込み、荷下ろし、格納、ピッキングといった一連の作業工程から人手作業を極力排除し、高効率な現場づくりを目指す」とし、4月に滋賀工場で導入した自動仕分け装置(写真)を紹介。物流情報システムについても、24年に予定している販売系の基幹システムのリニューアルに合わせ、物流のDX化を推進していくとした。

中部地区で大型拠点に再編、共同物流も視野

物流の共同化では、近年の量販店向け専用拠点の設置や大型拠点への倉庫集約による販売店との共同保管・共同配送の取り組み成果に触れ、他荷主との共同配送が可能な物流拠点の展開として、「近畿地区に続き、10月から中部地区でも将来の共同物流をにらんで、他社貨物も含めて十分に扱える大型拠点への再編に着手した」と報告。パレット化の取り組みでは、エアコンのパレットを標準化し、循環型の共同利用を目指す「パレット共同化推進協議会」が発足し、来年に一部運用開始を目指すとした。

物流サービスによる付加価値提供では、「空調専門店の工事物件について、搬入手配のほか、物流側で出荷前に開梱、セットアップを行って現場に納品するなど、一部のプロセスをダイキン工業が代行することで、シェア拡大と物流工程で新たな付加価値を創造し、トータル物流コスト削減を進める考え方を志向したい」と具体案を提示。このほか、包装技術開発について、日本での包装効率化の取り組みをグローバルに水平展開することやリターナブル包装技術の開発に意欲を見せた。

グローバルでは、マレーシアで建設中の自社物流拠点、インド南部の生産工場建設に伴う新たな物流拠点と輸送ネットワーク構築、中国におけるBtoCもにらんだ倉庫の確保などを取り組みとして報告。最重点地域である北米では、各地域ハブ拠点の拡充や来年度のアトランタにおける大型リージョンセンター開設により「従来のヒューストン集中型から分散型にシフトし、ECにも対応した配送サービスも目指す」とした。欧州では、市場規模が大きい国における拠点充実の必要性を指摘した。

3つの改善事例報告、オンラインで表彰式も

改善事例発表では、「自動仕分け装置導入による仕分け作業の効率化」(滋賀供給改革PJチーム)、「草加配送センターの能力アップ取組み」(業務改善グループ)、「輸送治具(梱包材)の削減による地球環境への貢献」(淀川改善グループ)の3つの事例が紹介され、技術センターの武田重治室長が講評を行った。表彰式では、21年度の功労賞、物流本部長特別賞、Aランクドライバー認定の表彰が行われるとともに、昨年度の表彰者についても改めて紹介した。

結びに村井哲・物流担当執行役員が挨拶し、「販売、生産、物流に必要な情報を一気通貫で管理する仕掛けを導入すべく、物流部門からも参画して取り組みを進めている。物流の仕事を見ると、スピード、効率面で改善の余地がまだある。販売、生産、在庫といった情報をリアルタイムに把握し、配車や積み込み、パレタイズに直結した作業に見直していくことが課題となる。SCMの取り組みと連携し、物流サイドから全体最適の視点で積極的に改善提案していきたい」とし、諸課題解決に向けた連携強化を呼びかけた。
(2021年10月21日号)


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