オイシックス・ラ・大地、新拠点開設後、冷凍倉庫を集約へ
オイシックス・ラ・大地(本社・東京都品川区、髙島宏平社長)は新型コロナウイルス感染症の拡大から食品宅配への需要が拡大するなか、物流ネットワークの整備を急ぐ。13日にオンライン方式で開催された2021年3月期の決算説明会で高島社長が方針を明らかにした。今年10月に神奈川県海老名市で大型物流センターを開設した後、冷凍品の物流施設集約や西日本地域での倉庫新設、さらには資本提携関係にあるヤマト運輸との物流拠点共有化も視野に入れる。
今年10月に稼働を予定するのは、「Oisix新海老名ステーション」(神奈川県海老名市)。プロロジスのオイシックス・ラ・大地向けBTS型施設「プロロジスパーク海老名2」を賃借し、敷地面積約1万7000㎡、地上4階建て・延床面積約3万8000㎡の計画としている。当初は同ステーションの開設まで既存物流拠点の機能拡充で対応する考えだったが、新型コロナの拡大による食品宅配需要の急増から、昨年5月に既存の物流拠点機能がパンクし、昨年10月には急遽「Oisix狭山ステーション」を稼働してカバーした。新海老名ステーションには同所をはじめ、「各地にツギハギで借りている倉庫を統合する」(髙島社長)ことでオペレーション効率の向上を図る。
新海老名ステーションの開設で取扱キャパシティは現状の倍に拡大し、一元化後は物流費1%の削減効果を見込む。一方で「逆に、倍にしかならない」(同)との認識にもあり、オペレーションの改善に向けて、「それ以降のことも考えなくてはならない」と髙島氏。まずは冷凍品を扱う物流拠点の集約を進めた上で、「Oisix」ブランドではBCPの観点から西日本でのステーション新設も検討する。「大地を守る会」と「らでぃっしゅぼーや」はオペレーションが類似することから、両社の物流集約も可能性を示唆した。
配送に関しては、ヤマト運輸との資本提携のもと「クール宅急便の中で当社が一番物量が多く、値段の交渉も継続的に行っており、満足する形で合意できている」状況。ただ、コロナ下で消費者に「置き配」が浸透する中、冷蔵品の置き配の仕組み構築に向けた研究も共同で行っていく。また、運用全体のさらなる効率化に向けても、「当社とヤマト運輸のオペレーションをいかに立体的に進められるかが重要であり、場合によっては一緒に拠点を共有し合うようなこともありかと思っている」との考えを示した。
(2021年5月18日号)