メニュー

シーエックスカーゴ、通販配送で生協宅配網の利用拡大へ

2021.02.25

日本生活協同組合連合会(日本生協連)の物流子会社であるシーエックスカーゴ(本社・埼玉県桶川市、山田英孝社長)は今月、「桶川第2流通センター」(桶川市)を開設し、日本生協連の通販物流を開始した。最新のマテハン設備を導入した新センターを立ち上げ、出荷能力を高めることで、通販配送における生協宅配配送網の活用を拡大することが狙いで、これにより、通販商品全体に占める割合を引き上げる考え。宅配クライシスに対応できる柔軟性を持つ安定的な配送インフラを確立することで、組合員へのサービス向上と会員生協の事業拡大を支援する。

省人化機器の導入で出荷能力を大幅に強化

桶川第2流通センターはDPL桶川を日本生協連とシーエックスカーゴで全棟借りして2月1日に開設した。現在稼働中の通販物流センターから順次全作業を移管し、7月の全面稼働を予定する。敷地面積4万1706㎡、延床面積7万182㎡の大型拠点で、同社の運営センターとしては最大となる。場所は、圏央道・桶川加納インターチェンジから至近で、同社の本社物流センター「桶川流通センター」の隣接地となり、センター間で庫内作業員を融通して通販物流特有の物量波動にも柔軟に対応する。

1階部分では日本生協連ドライPBなどの常温在庫品の保管と発送業務を担い、2~4階部分を日本生協連の新たな通販物流センターとして運営する。取扱アイテムはメーカー直送品を除く通販商品となり、雑貨やファッション、靴、カバン、寝具など在庫は5万SKU、400万点に上る。一日最大5万オーダー、7万点の出荷に対応可能で、組合員からの受注に対し、全国へ発送する。

倉庫内には省人化・省力化に寄与するマテハン機器を導入。その一つがトーヨーカネツの立体式自動保管・仕分けシステム「マルチシャトル(写真)」だ。庫内空間を立体的に活用しながら、従来はソーターを用いて人手で行われていた仕分け作業を省人化し、取扱可能物量を大幅に増加した。併せて、出荷用の段ボールを自動で組み立てる「製函機」3台と「自動梱包機」3台、マスター登録時に商品の3辺を自動計測できる「3辺計測器」1台も導入する。
さらに、ベンダー側の協力を得てASN(事前出荷情報)の活用を開始したことで、荷受け場での検収作業を大幅に軽減。コンテナやトラックから荷降ろししたカートンは、ソーターに流すことで外装に貼付されたバーコードがリーダーで自動的に読み取られ、ASNデータと照会して検収が完了する仕組みとした。ASNの活用が可能になったことで、こうした入荷作業にかかる人員配置の最適化も実現する。

物量波動への対策としては、全社的に取り組みを進めている「登録型アルバイト制度」も活用し、“必要な時に必要な数の”作業員を確保できる体制を整えていく。また、外国人作業者の雇用も見越して、庫内作業に使用するタブレット端末は多言語に対応する。

庫内作業人員は開設当初300人を見込むが、作業生産性の向上と省人化機器の追加導入などで段階的に減らしていく方針。具体的には、自動搬送機とアーム式ピッキングロボットの採用を計画しており、とくに自動搬送機は入庫商品の格納搬送や在庫エリアからマルチシャトルへの移動、ピッキング済みオリコンの出荷場までの横持ちなどでの採用を検討する。これらの機器は「桶川第2流通センターに留まらず、当社の物流センターで幅広く活用していく」と開発本部の金子勝宏本部長は展望する。

通販商品の安定供給へ生協宅配配送網の拡大

日本生協連の通販商品は、主に大手宅配会社によって発送されている。しかし、宅配危機を背景とした宅配各社による荷受け総量抑制や運賃の値上げを受け、生協宅配配送網の利用拡大を検討。生協通販はこの10年間成長を続け、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大ではさらなる需要増も見込まれており、既存の生協宅配配送網に通販商品を積み合わせて、全国の組合員宅へ届ける仕組みの構築を進めてきた。

現在は、東北全域と北陸、東海3県(愛知・岐阜・三重)、奈良県、中四国地域への発送で、生協の宅配配送網を活用した通販配送を実施。日本生協連の通販物流センターで会員生協の支所別に商品を仕分け、各支所で生協宅配の商品とともに配送トラックに積み込まれている。一部の生協では会員生協の物流センターに通販商品を一括納品し、同所にて支所別に仕分けた上で生協宅配の商品とともに各支所へ届けられるスキームでも運用されている。

このような取り組みをさらに進めるには、多様な配達方法に柔軟に対応する必要があったため、通販事業の拡大に向けた物流側の制約を取り除くことを目的に、新センターの開設を決めた。桶川第2流通センターは、床面積こそ従来の通販センターと同程度だが、マルチシャトルをはじめとするマテハン機器の導入で取扱可能物量と仕分け能力を引き上げた。加えて、内陸型倉庫であるため、物件の賃貸料や人件費も抑制できたという。

一方で、生協宅配のトラックで届ける商品は、生協のOCR用紙による注文が中心で、Webサイトからの受注で日時指定があるものは、引き続き大手宅配会社を利用していく。「通販商品の全てを生協宅配の配送網に乗せることは困難であり、多様な配達方法が混在していく中、配送形態に左右されない物流センターを構築する必要があった」と通販物流管理室の岩田貴之室長は説明する。

その上で、将来的には各会員生協のセットセンターで通販商品と生協宅配の商品を同梱して組合員宅に届けられる体制を目指す。配送コストは大幅に削減できる上、組合員からも「商品を一緒に届けてほしい」との要請は強く、こうしたニーズに応えていく。
(2021年2月25日号)


関連記事一覧