22年1月のHD体制移行を正式決定=日本通運
日本通運(本社・東京都港区、齋藤充社長)は1月29日、2022年1月4日付で持株会社体制へ移行する方針を決定した。今年6月下旬に開催される定時株主総会における承認が前提となる。HD体制への移行により、スピーディな意思決定によるグループシナジーを創出するほか、グローバルガバナンスの強化による海外事業の拡大、グループ経営管理体制の高度化を実現する。HD会社の社名やグループ体制の詳細は、4月下旬に開催される取締役会で決定する。
1年間の社内検討を経て判断
同社は19年12月に「グループ経営体制変更に関する検討開始についてのお知らせ」を公表し、HD体制への移行を含めた社内検討を重ねてきた。その結果、22年1月4日付で現在の日本通運を株式移転完全子会社、新設する持株会社を完全親会社とする単独株式移転によりHD体制に移行することを正式に決めたもの。これにより、現在の日通は上場廃止となり、持株会社が東証一部に新規上場する予定。
物流事業を取り巻く市場環境が急速に変化する中、競合であるメガフォワーダーはM&Aなどによりグローバル市場での事業拡大や寡占化を進めている。その中で同社は「日通グループ経営計画2023」で掲げた長期ビジョンである「グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」を実現するためには、グループ経営体制をさらに進化させ、グループ価値を最大化する必要があると判断。日本通運が事業持株会社として事業推進機能とグループ経営戦略機能の両面を兼ねている現在の体制から、両機能を分離することで経営体制をさらに強化・高度化する道を選んだ。
グローバルを意識し、12月決算へ移行
具体的なグループ体制ついては今後詳細を詰め、4月の取締役会での承認を経て、6月下旬に定時株主総会に付議するが、持株会社の傘下に日本通運、海外地域統括会社、日通商事などの物流サポート事業子会社を置く体制となる。日本通運は引き続き中核事業会社として、日本国内におけるロジスティクス事業および日本起点のグローバル事業を担当。また、海外地域統括会社は、現在の米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニアの4ブロック体制を継続し、各地域統括会社が持株会社と連携する体制となる。
なお、新体制への移行時期を22年1月にしたことで、決算期は従来の3月期から12月期に変更される。これまでは、海外会社のみ12月決算だったものをグループ全体で統一するとともに、国際会計基準(IFRS)に移行することでグローバル戦略をさらに加速していく。
新本社の稼働と同時に新体制がスタート
また、日通は現在、都内の神田和泉町に新本社ビルを建設中(完成イメージ)。今年秋頃にも完成し、順次本社機能の移転を行い、22年1月の新体制への移行と同時に本格稼働を予定している。新本社ビルは、現在の汐留本社ビルの移転だけにとどまらず、都内に分散している航空事業支店や海運事業支店、東京支店、グループ会社などの機能を集約した「グループ統合拠点」となる予定で、名実ともに新たなグループ経営体制のもとでのスタートを切ることになる。
なお、同社の齋藤社長は昨年12月8日付の本紙インタビューにおいて、具体的な体制やスケジュールは言える段階ではないとした上で「ホールディング制への移行は視野にある」と発言。また、「許認可や事務手続きなどを考慮すると、いきなり大掛かりな再編は難しいかも知れませんが、まずは第一歩を踏み出したいと考えています」と発言していた。
(2021年2月4日号)