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JR貨物/大和ハウスが「DPL札幌レールゲート」着工

2020.07.02

JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)と大和ハウス工業(本社・大阪市北区、芳井敬一社長)は1日、札幌貨物ターミナル駅(札幌市白石区)構内で東北・北海道エリア最大規模の大型物流施設「DPL札幌レールゲート」の建設に着手した。総投資額は約150億円。竣工は2022年5月31日を予定している。6月24日に現地で記者会見した真貝社長は「『レールゲート構想』の全国展開をさらに進めていく」と方針を述べた。

新施設(完成イメージ)は敷地面積5万348㎡、延床面積8万6916㎡、賃貸面積7万2985㎡、地上3階建てのマルチテナント型物流施設。両社が共同事業として開発し、最大12テナント、1区画約5000㎡からの入居に対応する。2階へトラックが接車できるようスロープを設け、1階は平屋とし、2、3階はセットで利用できる構造を採用する。施設内にはテナント従業員専用の保育施設を設置し、従業員の仕事と子育ての両立をサポートするほか、カフェテリアを設け、働きやすい環境づくりを推進する。

JR貨物では札幌貨物ターミナル駅構内の立地特性を活かし、貨物鉄道輸送と物流施設を組み合わせた総合物流サービスを顧客に提供するとともに、大和ハウスはグループ企業のダイワロジテックを通じ、フレームワークスのWMSやHacobuのトラックバース予約システム「MOVO Berth」など、AI・IoTを駆使した様々な自動化システムを投入し、顧客の物流効率化を支援する。

開発地は道央自動車道「大谷地IC」から約1㎞と至近で、札幌市内を含む道央エリア全域へのアクセスが容易な場所に立地。17年までJR貨物グループの日本オイルターミナルが石油基地を運営していたが、同エリアでの石油輸送が終了して以降、同地の活用を検討していた。

レールゲート構想を加速、全国展開へ

真貝社長は「DPL札幌レールゲート」の強みについて、「貨物駅構内にあるため、貨物鉄道を利用しやすい。EC関連や食品・飲料関連など幅広い業種から貨物鉄道の利用も含めて活用していただきたい」と説明し、今後の施設開発については「仙台で仙台貨物ターミナル駅の移転・新設に伴う施設建設の計画が進行しているほか、東海道線と山陽線の主要貨物駅についてもこれから具体的な検討を進めていく」との方針を示した。また、「DPL札幌レールゲート」による期待効果として「北海道発着の鉄道貨物が数パーセント増えていくだろう」と展望した。このほか、新幹線との青函トンネル共用走行と並行在来線の問題については、「北海道だけではなく、全国の鉄道ネットワークがつながっていることを前提に、我々が掲げる『総合物流企業グループ』を目指していく。『DPL札幌レールゲート』もその考えを前提に開発を進めている」と強調した。

続いて、大和ハウスの浦川竜哉常務は「今回のプロジェクトが北海道の経済発展とサプライチェーンの一翼を担う新しいセンターとして稼働することを期待している。稼働後は300~400人の雇用を生むことができるのではないか」と予測した。

なお、JR貨物は今年3月に、東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)構内で同社初となるマルチテナント型物流施設「東京レールゲートWEST」を開設。22年8月には隣接地に三井不動産と共同開発する「東京レールゲートEAST」が竣工する予定となっている。
(2020年7月2日号)


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