外国人材活用可能性の検討を本格化=日冷倉
日本冷蔵倉庫協会(日冷倉、的埜明世会長)は、人手不足対策として外国人材活用可能性の検討を本格化させる。4月の入管法改正で深刻な人手不足と認められた業種に新たな在留資格「特定技能」が導入されるなど産業分野で外国人材の受入枠が広がったことから、新たな専門部会を立ち上げ、外国人材も含めた多様な人材活用に向けた検討を開始していた。部会では「技能実習制度」における受け入れ職種指定を目指し活動していく方向性を確認している。10日に開かれた年末記者会見(写真)で明らかにした。
日冷倉は今年度に総務委員会に新設した「人材活用検討部会」で外国人材を含めた多様な人材活用の検討を推進している。7月に開かれた同部会の第1回では国土交通省物流産業室から担当者を招き意見交換。10月の第2回では、国交省が実施した「倉庫業界における労働力不足等に関するアンケート調査」の集計結果について概略の説明を受けた。
田中一範副会長(総務委員長)は「10月16日の地区会長会議で各地区から現状の報告があり、倉庫作業が(外国人材受け入れの)対象業種に追加されるよう働きかけをしていく報告性を確認した。まずは『技能実習制度』の職種指定を目指して活動していく」こととし、外国人材にとらわれず、女性も含めた幅広い人材活用を探る考えを示した。
輸入コンテナのデマレージ(フリータイムを超えてコンテナヤードに留置された場合に課される超過保管料)問題についても西願廣行副会長(業務委員長)が説明。「近年、デマレージの額が増えている。数万トン規模の倉庫で月に億単位のデマレージが発生しているケースもある」とし、負担は原則輸入者であることを確認する文書を発出したことを報告した。
解決策として、リーファーコンテナの一時プール場所の増設や他所蔵置(保税地域に入れるのが困難な蔵置貨物に関する手続き)、自家用冷蔵倉庫の営業用冷蔵倉庫としての活用を案として挙げたほか、東京都が要請しているコンテナヤードからの早期搬出に関しては、リーファーコンテナのプール用地に関して都と協議していることも明かした。
松田浩副会長(環境・安全委員長)は、省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業について「今年度は冷凍冷蔵倉庫分野で87事業者・96事業所が採択され、会員は40事業者・44事業所と前年度から大きく増加した」と報告。フロン(R22)再生再利用事業の利用実績向上も報告した。
大石竜司理事(税制補助特別委員長)は自民党の物流倉庫振興推進議員連盟を通じ、省エネ型自然冷媒機器導入補助の継続と予算の増額とともに、中小企業への補助率について現状の3分の1から2分の1以下に戻すよう要望したとし、「中小企業では3分の1の補助率では足りない」と訴えた。
(2019年12月17日号)