荷主・事業者のマッチング支援へ=国交省/経産省
国土交通省は8日、共同物流等の促進に向けた研究会(座長=矢野裕児・流通経済大学教授)の第4回会合を開催した。今回は事務局から今後の施策の方向性が示されたほか、荷主による優良事例として日本マクドナルドとブルボンが取り組み内容を報告した。同研究会では、これまでの議論を踏まえ、6月に提言を取りまとめて報告書を公表する。
事務局は今後実施すべき施策の方向に関して提案。荷主と物流事業者による共同物流の可能性を広げるため、同業種・異業種を含めた荷主間や荷主と事業者のマッチングを支援する仕組みづくりを検討していくこととした。
荷主の意識変革のためには、今春からスタートした「ホワイト物流」推進運動などを通じ、過度なリードタイム競争などの商慣行を見直すことを訴えていく。リードタイムの延長や検品の簡素化など発着荷主と物流事業者の〝タテの連携〟を強化するため、物流総合効率化法(物効法)の認定やグリーン物流パートナーシップ会議による表彰などを積極的に行い、優良事例の認知度向上を図っていく。
荷主の委員からは「共同物流への取り組みを推進するためには社内調整が必要だが、物効法の認定や表彰を受けることが、案件を実現していく上でサポートになる」という声や、「着荷主側からは課題が見えにくい部分もある。もっと発荷主や物流事業者から共同化や効率化について提案してほしい」などの要望があった。
「SIP」で物流・商流データ基盤の構築へ
共同化を円滑に進めるにはシステムや物流資機材、作業手順などの標準化や業務量の平準化が重要との認識を共有。関係者による検討を通じ、ハード・ソフト両面での標準化を促進していく。加えて、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の枠組みを活用し、物流・商流データの自動収集技術を開発するともに個社・業界の垣根を越えて物流データを蓄積できる物流・商流データ基盤の構築を目指す。
マクドナルドの平準化の取り組みに注目集まる
優良事例の説明では日本マクドナルドの担当者が取り組みを報告した。国内13ヵ所の配送センターから全国約2900の店舗への原材料の配送について平準化を実施。これまで各店舗の事情を優先した配送を行うため、曜日による配送回数の変動や低積載率での配送が発生するなどの課題があったが、納品時間や曜日ごとの納品数量のバラツキを平準化し、水曜日を配送休日にするなど改善を行った。これにより、CO2排出削減量は年間126t、運転時間は年間約2万5500時間を削減する効果が見込まれている。荷主が主導する物流平準化の取り組みとして注目が集まり、昨年8月に物効法の総合効率化計画の認定を受けた。
ブルボンの担当者は同業他社との共同輸配送について説明を行った。トラックドライバーの納品先での待機時間削減をより一層進めるためには、着荷主との連携・協力が不可欠だと指摘。「発荷主・着荷主・物流事業者が三位一体となった」取り組みを推進し、待機時間のさらなる削減に取り組む考えを示した。
(2019年5月14日号)