運輸業、「事務職」の不足も深刻、有効求人倍率は4・41倍に
トラック運送事業で、「事務職」不足が深刻だ。厚生労働省の発表によると、2018年11月時点の「運輸・郵便事務職」の有効求人倍率は4・41倍、新規求人倍率も7・34倍と事務的職業の中でもとびぬけて高く、トラックドライバーを含む「自動車運転職」以上に高水準となっている。トラックドライバー不足を背景に、日々の運送手配や「働き方改革」に伴う運行管理の適正化など、トラック運送事業で事務職に課せられる業務は増加・高度化する傾向にあり、人材の確保が急務となりそうだ。
ドライバー以外の不足感が強まる
「運輸・郵便事務職」には、貨物受付、運行管理、郵便内務などに従事する事務員が含まれる。雇用状況の推移をみると、2年前の16年11月時点の有効求人倍率は3・42倍、新規求人倍率は4・30倍、1年前の17年11月時点ではそれぞれ3・89倍、5・76倍と「自動車運転職」の水準を大きく上回り、18年11月には事務職の中で最も求人倍率が高かった。
「ドライバー」と「ドライバー以外」の過不足状況を四半期ごとに調べている大阪府トラック協会の景況感調査では、「ドライバー以外」について18年7~9月期に「不足」と回答したのは55・6%。先行きでは70・4%に上昇するなど、ドライバー同様に不足感が強まっている。一方、採用状況では前年同期比、前期比、先行きともに「減少」の割合が大きくなっており、ドライバー以外の人材難がうかがえる。
トラック運送事業では近年、運行管理者の不足も指摘され、東海電子が昨秋、運輸事業者に行ったアンケートでは、運行管理者が「不足している」という回答が40%あった。給与比較では「ドライバーの方が運行管理者より高い」が64%。ただ、深夜、早朝の点呼といった厳しい労働環境や、重大事故における逮捕リスク、30%程度で推移する運行管理者試験の合格率なども考えると、今後さらに確保が難しくなると予想され、給与水準の改善も課題になりそうだ。
(2019年1月15日号)