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味の素物流がロボットによる点呼支援で基礎実験

2018.12.13

味の素物流(本社・東京都中央区、田中宏幸社長)では、ナブアシストの「Tenko de Pepper」を川崎営業所(川崎市川崎区)で約1ヵ月間、試験運用(写真)した。現行の貨物自動車運送事業輸送安全規則に基づき、通常の対人点呼も一通り行った上で、運行管理者のもとでソフトバンクロボティクスが手掛けるヒト型ロボット「Pepper」が点呼業務を支援。点呼業務へのロボティクス技術活用に向けた基礎実験との位置付けで、レビューを行った上で実用化の可能性や課題を整理する。

運行管理者は乗務前、乗務終了後のドライバーに対して、対面により点呼を行い、報告を求めるとともに確認を行い、運行の安全を確保するために必要な指示を与えなければならないとされている。点呼業務は早朝や深夜に行われ、運行管理者不足も予想されることから、点呼業務へのロボティクス技術の活用を検討することとした。

「Tenko de Pepper」をカスタマイズし、11月中旬から12月中旬にかけて川崎営業所で運用。例えば、運転前はアルコールチェック、免許証チェック、本人確認、体調管理、指示事項伝達――といった一連の点呼業務について、Pepperが胸に抱えたタブレット端末の表示をドライバーがタッチしたり、運行上の注意事項の指示をPepperが伝える。

通常、点呼業務は口頭で行われ、記録は運行管理者が手書きしていたが、「Tenko de Pepper」では睡眠時間の記録についてもドライバー自身が入力し、記録がデジタル化されるため精度を上げられる期待がある。一方、1人あたり30秒から1分程度長く時間がかかることや、当日必要な運行上の注意事項をあらかじめ入力しておく必要があるため、入力漏れを防ぐことが課題として挙げられている。

味の素物流で新技術の研究等を担当する、五十嵐弘幸執行役員物流業務推進部長は、「点呼業務を完全にロボットに置き換えるのは難しいが、データの記録支援という活用方法については研究を始める時期にきているのではないか。点呼業務のクオリティアップにつながるかどうか、物流現場でのロボットとの共生、ヒト型ロボットの親和性も含めてレビューが必要」と指摘する。
(2018年12月13日号)


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