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日本FL、東北~京浜港の海コン輸送を充実

2018.03.27

日本フレートライナー(FL、本社・東京都千代田区、今橋一樹社長)では、鉄道輸送を絡めた国際輸送サービスの充実を図る。東北圏の輸出入で航路やサービスが充実する京浜港への回帰が見られる中、港頭地区のドレージはひっ迫。鉄道へのモーダルシフトニーズは高まっており、国際海上コンテナの鉄道輸送サービス「東北エクスプレスサービス」があらためて注目されている。

トラックドライバー不足も追い風に需要高まる

JR貨物グループの事業体制再編の一環で、2016年3月31日付で、特積み・引越し事業者向けの鉄道利用運送が主体の旧日本フレートライナーを存続会社として、国際フォワーダー・船社を顧客に鉄道利用運送や通関を手掛けるジェイアール貨物・インターナショナルを吸収合併した。

旧JR貨物・インターが手掛けていた国際輸送サービスは「国際事業部」が担当し、東京インランドコンテナデポ(ICD)と盛岡ICDの2つの事業所を管轄している。国際輸送サービスの主力のメニューが「東北エクスプレスサービス」で、昨今のトラックドライバー不足も追い風に需要が高まっている。

「東北エクスプレスサービス」はJR貨物との共同事業で2010年4月から開始した。現在は、東京貨物ターミナル駅~盛岡貨物ターミナル・仙台港駅間で、月~土曜日の週6便(毎日1往復)、鉄道による海上コンテナ輸送サービスを提供している。

現在、同サービスは北東北への製材原料や外国製のタイヤの輸入、北東北のメーカーの産業用機械の輸出などで利用されている。FLが通関手続きも含めてドア・ツー・ドアで請け負っているケースもあり、弘前からのリンゴの輸出では盛岡ICDで植物防疫および通関手続きを行い、京浜港まで鉄道による保税運送を行っている。

17年度の見込みは9600TEU、実入り比率は66・5%

東京貨物タ駅~盛岡貨物タ駅間は40ft背高コンテナの通行が可能であること、リーファーも含めほぼ全種類のコンテナを取り扱えることなどの条件がそろっており、「京浜港における海上コンテナ貨物の鉄道輸送モデル事業」(10~13年度)として順調に輸送実績を伸ばし、12年度には過去最高となる1万1581TEUを輸送した。

14年度に列車スペースを約半分に縮小したのに伴い、15年度には6700TEUまで落ち込んだが、輸出入をマッチングさせるラウンド輸送の拡大により12年度には6割を切っていたコンテナの実入り比率は7割弱まで向上。17年度は輸送実績が再び拡大基調で9600TEU、実入り比率は66・5%となる見通しだ。

ラウンド輸送のカギとなっているのが盛岡貨物タ駅構内のICD。保税蔵置場の許可を得ており、デポ契約を結んだ船社のコンテナのピックアップ、返却を行える。OOCL、邦船3社、APLに続き、昨秋から新たにCOSCOが加わったことで、さらなるマッチングの拡大が期待されている。

東京ICD、保税蔵置場として積み替え、混載拠点に

現在、引き合いが増えているのが東京貨物タ駅内に設置した東京ICD。貨物駅構内で保税蔵置場の許可を得ている希少な上屋施設で、海上コンテナから鉄道用12ftコンテナまたはトラックへの積み替え、あるいは12ftコンテナやトラックから海上コンテナへの積み替えを迅速に行えるため、鉄道輸送の利便性を向上できる。

秋田県の輸入荷主はドレージによる陸送から鉄道輸送に切り替えるにあたり、東京ICDを納期とロットの調整に利用。40ftコンテナのままだとロットが大きすぎるため、同施設で12ftコンテナに積替えて輸送している。鉄道を利用する船社のCFS(コンテナ・フレート・ステーション)として混載の拠点にも利用されている。

日本FLの五島洋次郎取締役営業本部長国際事業部長は「東北エクスプレスサービス」の実入り比率を8割まで高めることを目標とし、その課題として「輸出入のマッチング拡大」を挙げる。その取り組みの一環として、免税コンテナの国内転用制度を活用し、盛岡ICDにストックされたコンテナの一部を京浜港向けの国内貨物の輸送に用いることも進めていく。

五島氏は邦船3社によるコンテナ事業会社「オーシャン・ネットワーク・エクスプレス」(ONE)が4月から事業を開始することで、コンテナのマッチング率向上に期待を寄せる。また、東京貨物タ駅構内でマルチテナント型物流施設「東京レールゲート」が完成すれば、同施設のテナントに鉄道輸送を絡めた国際輸送を提案できる可能性が広がると見る。

さらに、輸送サービスに加えて通関業務の受託拡大も視野に入れている。昨年10月8日から輸出入申告官署の自由化とともに通関業の営業区域制限が撤廃された。FLでは東京税関から通関業の許可を得ているが、盛岡ICDの蔵置貨物についても東京から申告できる。検査立会いのため、ICDのスタッフを通関業務従業者登録することも進めている。
(2018年3月27日号)


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