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「トラック運送業界の環境ビジョン2030」策定=全ト協

2022.03.22

全日本トラック協会(坂本克己会長)は、2030年にCO2排出原単位を05年度比で31%削減する目標を掲げた「トラック運送業界の環境ビジョン2030」(ビジョン2030)を策定した。2050年のカーボンニュートラルを目指し、トラック運送業界の30年時点でのありたい姿を実現するための指針とする。車両総重量8t以下の車両について、30年における電動車の保有台数割合を10%とする数値目標を示し、トラック事業者が自社のCO2排出量を簡易に算定できるツールも開発する。同ビジョンは4月上旬に全ト協ホームページで公表する。

30年のCO2排出原単位を05年度比31%減

全ト協が参画している日本経済団体連合会(経団連)の「カーボンニュートラル行動計画」では、輸送量(輸送トンキロ)あたりの燃料使用量、すなわちCO2排出原単位の削減を業界目標とすることが適切であるとし、トラック運送業界全体の30年のCO2排出原単位を05年度比で31%削減することを目標に設定。トラック運送業界としての目標の統一性を図るため、「ビジョン2030」でも同目標を「メイン目標」として定めた。

その上で3つの「サブ目標」を設定。具体的には、車両総重量8t以下の車両について、30年における電動車の保有台数10%を目指す。政府の「グリーン成長戦略」における商用車の新車販売目標から導かれる数値をトラック運送業界全体の目標として、全ト協が都道府県別のハイブリッドトラックやEVトラックなどの保有台数を毎年把握し、公表する。

CO2排出量簡易算定ツール活用し目標設定

各事業者が自社の車両のCO2排出総量またはCO2排出原単位を把握することも盛り込んだ。全ト協のホームページに「トラック運送事業者用CO2排出量簡易算定ツール」と「使い方マニュアル」を掲載。把握したデータをもとに、CO2削減のための目標を設定し、実際の行動に結びつける。

CO2排出量に関し、「ステップ1」では燃料使用量(総量)、「ステップ2」では、燃料使用量(車両別)と走行キロ(車両別)、「ステップ3」では荷主別の燃料使用量、走行キロ、実車キロ、輸送トン数、積載率からそれぞれCO2排出量を把握できるようにし、将来的には「ステップ2」を取り組む事業者の算定結果の集計、進捗の検証も行う予定。

また、全ト協と各都道府県ト協が共通で取り組む「行動月間」を定める。6月の「環境月間」、11月の「エコドライブ推進月間」と歩調を合わせて、全国のト協でイベントや広報活動を行うことを要請。1年間の各都道府県の実施内容をまとめ、全ト協のホームページで「トラック運送業界での環境の取り組み」として公表することとした。

計画の内容については、脱炭素化を目指して取り組むメニューを3段階に分けて設定した。「運送事業を推進するうえで取り組む対策メニュー(A)」、「事務所などで取り組む対策メニュー(B)」、ごみの削減、資源リサイクル推進、騒音対策など「運送事業を推進するうえで取り組むその他のメニュー(C)」について具体的な行動事例を示している。

このうち重点が置かれる運送事業を推進する上で取り組む対策メニューとしては、①環境性能に優れた次世代トラックの導入②エコドライブの推進③アイドリング・ストップの推進④EMS(エコドライブ管理システム)関連機器の導入⑤輸送効率化の推進⑥整備点検の徹底――を挙げている。

なお、19年度の我が国のCO2排出量は11億800万tでこのうち運輸部門は18・6%。運輸部門の中で営業用トラックの排出量は20・4%を占める。政府の「グリーン成長戦略」では、「車両総重量8t以下の小型車について30年までに新車販売で電動車両20~30%」を目指すことが掲げられている。
(2022年3月22日号)


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