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ヤマトHD、ネットワーク維持へ貨物専用機導入

2022.01.27

ヤマトホールディングス(本社・東京都中央区、長尾裕社長)と日本航空(JAL、本社・東京都品川区、赤坂祐二社長)は21日、日本国内で貨物専用機(フレーター)の運航を2024年4月から開始すると発表した。フレーター3機で羽田、成田、新千歳、北九州、那覇空港を結び、「2024年問題」によって長距離トラックの輸送力確保が厳しくなることが予想される中、宅急便の持続的なネットワークの構築に努める。

機材はエアバス社のA321ceoP2F型機を使用。ヤマトが中古旅客機を改造したフレーター3機をリースで調達し、運航を担当するJALグループのジェットスター・ジャパンにサブリースする。JALはジェットスターとコードシェア契約を結んだ上で、ヤマトとスペース売買契約を結ぶ。
フレーター1機当たりの最大搭載重量は28tで、10tトラックで5~6台分の貨物量に相当するという。搭載コンテナはメインデッキがAAYコンテナ14台、ロワーデッキがAKHコンテナ10台。

関係官庁からの認可取得を前提として、24年4月からの運航開始を予定。運航地点は羽田、成田、新千歳、北九州、那覇の各空港で、昼間は成田、夜間は羽田を拠点に新千歳~北九州~那覇の各空港間を結ぶ計画。

24年以降も宅急便のサービスレベルを堅持

ヤマトは、24年4月からドライバーの年間残業時間の罰則付き上限規制が始まることに伴い、長距離トラックの輸送力に不足が生じる懸念を抱えている。そこで、これまで宅急便の国内ネットワークを支えてきたトラック、鉄道、フェリー、旅客機のベリースペースに加え、フレーターを新たな輸送手段に加えることで、輸送力の安定確保や宅急便のサービス品質維持に努める。

21日にオンラインで会見したヤマト運輸の梅津克彦執行役員(戦略渉外担当)は、今回の狙いについて「2024年問題に加え、自然災害による物流網寸断リスクへの対応を強化するため、輸送ポートフォリオを強靱化する。空と陸の掛け算を進めていく」と述べたほか、「当面の輸送対象となるのは宅急便。ドライバー不足などが進んでも、現在の宅急便のサービス水準をしっかりと守っていきたい」と語った。

JALの岩越宏雄執行役員貨物郵便本部長は「ジェットスター・ジャパンはA320を運航しており、今回導入するフレーターとの機材の互換性が高い。また、多頻度運航によるLCCのビジネスモデルを展開しており、今回のフレーター運航にもっとも親和性が高い」と述べた。
(2022年1月27日号)


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