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日本郵便が配達業務支援システムを試験導入

2020.06.18

日本郵便(本社・東京都千代田区、衣川和秀社長)は15日、CBcloud(CBクラウド、本社・東京都千代田区、松本隆一CEO)とオプティマインド(本社・名古屋市中区、松下健社長)の2社と協業し、配達業務支援システムを試験導入した。業務経験の浅いドライバーでも簡単に配達できる仕組み作りを構築し、ゆうパックなどの配達を担う従業員の業務負荷軽減を図る。

同システムはCBクラウドが提供する宅配ソリューションシステム「SmaRyu Post」とオプティマインドのAIによる配達ルート自動作成システム「Loogia」を連携させたもの。「SmaRyu Post」はスマホ1台で荷物ラベルのスキャンや車両の荷積み位置の指定、配送ステータス管理、配達状況の画像撮影、電子サインを可能とし、「Loogia」は最適な配達順序やルートをスマホの地図上に表示し、配達未経験ドライバーの業務を支援する。対象荷物はゆうパックとゆうパケットで、全国約200ヵ所の郵便局に6月から順次導入し、来年3月まで運用状況を検証する。
同日、会見に出席した日本郵便の三苫倫理執行役員は「今回の試験導入は、日本郵便のDX(デジタルトランスフォーメーション)としての大きな一歩だ。短い時間で現状と同じ荷量の配達・再配達を可能とし、同じ時間でより多くの荷物が配達できる。現状から約2割~3割程度の生産性向上が認められれば、今回の試行は大きな成果が上がったことになる」と語った。

続いて、CBクラウドの松本氏は「当社は2019年から日本郵便と『SmaRyu Post』の実証実験を行い、配送効率を検証した。今回の試行では、さらに現場からのフィードバックを反映するとともに、オプティマインドのAI連携、相互データ、最適化アルゴリズムを活用し、誰もが宅配業務を安全、簡単にできるシステムの構築を目指す」と述べ、オプティマインドの松下氏は「『Loogia』は日々の走行データを学習することで、配送計画やルート表示の精度が向上する。さらに、ラストワンマイル現場に特化しているため、Uターンや一方通行、訪問先に対しての左付など現場の事情を考慮したルートを表示できることが強みだ」と説明した。

三輪スクーターも試行導入

また、日本郵便は配達業務支援のハード面の対策として、本田技研工業の三輪スクーター「GARO CANOPY」を導入する。まずは6月中に広島県の安芸五日市郵便局で運用を開始する予定で、今年度中に全国16ヵ所の郵便局に合計32台、年度以降はトータルで100台弱の導入を計画している。

同社はEC拡大によるゆうパケットの取扱個数の増加と二輪車免許の保有者数の減少から、「GARO CANOPY」の導入を決定。普通自動車免許で乗車でき、積載容量は約30㎏と従来の二輪車と比べて積載効率が約4割向上する。今後は、EC宅配の多い住宅街やゆうパケットの取扱量が多い郵便局への導入を検討していくという。

三苫氏は配達支援システムと三輪スクーターの導入について、「新型コロナウイルスなどもあり、社会環境やお客さまのニーズ、行動が急激に大きく変化し続けている。引き続きお客さまから選ばれるよう、この変化に対応しなくてはならない」と強調した。
(2020年6月18日号)


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