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日本HPが生産・物流拠点を「MFLP日野」に統合

2017.04.25

日本HP(本社・東京都江東区、岡隆史社長)では昨年6月から、生産と物流を統合した「日本HP東京ファクトリー&ロジスティックスパーク」(東京都日野市)を本格稼働させた。三井不動産が開発した「MFLP日野」の3階部分約1万8000平方mを賃借し、旧昭島工場を移転するとともに、2ヵ所の物流拠点も統合。同社が掲げる「東京生産」(MADE IN TOKYO)は新たなステージに入った。賃貸用大型物流施設内で製造・加工を行うケースは増えつつあるが、日本HPのように明確に「ファクトリー」をうたった入居例はまだ少ない。作業性の高い“ワンフロアオペレーション”が可能な最新鋭の物流施設を活用し、部材の調達から製品の供給にかかわるサプライチェーンを“シンプル”かつ“ミニマム”にする「次世代の生産・物流体制」のモデルケースとして注目されそうだ。

●グローバルで生産拠点と物流網を再構築

米ヒューレット・パッカード(HP)の日本法人は2015年8月1日に、エンタープライズ事業とPC・プリンティング事業を分社化し、日本HPがPC・プリンティング事業を承継した。日本HPのものづくりの代名詞となっているのが、「東京生産」。その歴史は1999年に操業開始した旧コンパック(2002年にHPと合併)あきる野工場にさかのぼり、受注生産で「5営業日納品」を実現する直販ビジネス「ダイレクトプラス」を立ち上げるにあたり、「東京生産」がスタートした。

その後、03年1月に日本HPのUNIXサーバーの生産拠点だった旧昭島工場に統合され、11年からは法人向けノートパソコンの生産を開始。国内唯一の生産拠点として、ビジネスデスクトップPC、パーソナルワークステーションなど各種製品を生産してきた。グローバルで進めている生産拠点と物流網の再構築の一環として、日本では国内に3ヵ所あった拠点の集約に着手。
従来は、例えば顧客からPCの注文が入った場合、昭島工場では東京・八王子の部材倉庫から部材を調達し、デスクトップを生産して、同工場から出荷。モニターは千葉・船橋の完成品倉庫から出荷し、顧客に近い拠点でドッキングさせる複雑な出荷体制だった。生産拠点と部材倉庫、完成品倉庫を日野の新拠点に一元化することで、生産から納入までのリードタイムを最小化するとともに、同一拠点からの出荷が可能。今まで以上に安定した製品供給とスムーズな配送を実現する。

●部材の確認と製造指示はバーコードで管理

新工場では法人向けデスクトップPCのほぼ100%、ノートパソコンの約80%を生産。倉庫には日々国内外から部材と製品が搬入される。生産計画に基づき部材を用意し、ラックに載せ生産ラインに投入。アッセンブリ(組み立て)は8つの生産ラインで行い、多品種少量(変量)生産に対応した“混流生産”方式を採用。仕様が異なる製品を同一ラインで生産し、約1分にPC1台の組み立てが行える。1台ごとに製品の仕様が異なるため、部材の確認と製造指示はバーコードで管理し、ペーパーレス化と精度アップを両立する。

組み立てが終わると、プリテスト(初期動作試験)、ランイン(連続動作試験)、ソフトウェアインストールの工程を経て製品となる。グローバル共通の全検査終了後、梱包ラインでPC本体の外観チェックを行い、付属品とともに製品を梱包。一定割合で「抜き取り検査」も行う。提携する国内配送業者により出荷後1~2日で納品。なお、出荷で用いるパレットは03年秋から段ボールパレットを採用しており、従来の木製に比べ購買・廃棄コストを削減し、100%リサイクルを実現している。

●生産と物流統合メリットで顧客満足を向上

近藤和豊サプライチェーンオペレーション本部長は、「生産物流拠点の統合でさらなる効率化と生産性の向上を図り、コスト削減につなげる」と話す。「MFLP日野」を新拠点に選んだ大きな要因とされるのが施設の拡張性とともに旧昭島工場との近さ。グローバルスケールをもとに「東京生産」が実現する高品質製品の提供を維持しながら、生産と物流の統合から生まれるメリットにより、日本の顧客の満足を向上させる狙いがあり、今回の工場移転に際し旧昭島工場のオペレーターの7割をシフトできたことが大きい。

なお、今後の課題として物流業界のドライバー不足ヘの対応を挙げる。旧昭島工場からの移転により出荷量が倍以上に増えており、繁忙期にはトラックを確保しにくくなっており「東京五輪まではこの傾向が続く」とみる。日本HPでは国内配送全体の3割で宅配を利用しており、時間指定の緩和をはじめ配送業者の負担軽減にも取り組む考えにある。

(2017年4月25日号)


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