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丸山運送、初の危険物倉庫を仙台港で建設

2021.03.11

丸山運送(本社・仙台市宮城野区、三浦一夫社長)は同社初となる危険物倉庫を仙台市蒲生北部地区で建設し、今秋の竣工を目指す。仙台塩釜港(仙台港区)の至近で仙台市が進めている土地区画整理事業で、4万488㎡の用地を取得した。将来的には、危険物倉庫、普通品倉庫の増設のほか、ISOタンクコンテナの保管も計画し、仙台港の発展に寄与する物流拠点としての整備を進めていく。

「ワンストップサービス」強みに総合物流事業

1962年に設立された同社は、運送業からスタートし、倉庫、梱包、通関、国際輸送など「ワンストップサービス」を強みとした総合物流事業を展開。現在、約200台のトラックを保有し、岩手、常総(茨城)、一宮(愛知)に輸送営業所を配置するほか、仙台港、仙台空港地区などで計約1・4万㎡の倉庫を運営する。

直近では、第二種貨物利用運送事業(鉄道)の許可を取得し、モーダルシフトに対応した輸送メニューを拡充。近年力を入れている国際物流では、仙台のほか東京、福岡にも通関営業所を設置し、幅広いニーズに対応。中国・上海の「上海ジャパン・デスク」では、顧客の中国進出や販路の開拓など物流にとどまらない現地での活動をサポートしている。

新規事業展開を模索する中で、仙台市が「蒲生北部被災市街地復興土地区画整理事業」として整理集約された蒲生北部地区の市有地について、譲渡(貸付)先事業者を募集。丸山運送が応募した事業(物流倉庫、コンテナ置場、事務所、駐車場)が採択され、区画の譲渡先の1社に選ばれた。4月以降、第1弾として危険物倉庫1棟を着工する。

同区画整理事業の採択を受けて建設されるバイオマス発電所が工事に際し、資材置き場として丸山運送の土地の一部を当面賃借。このため、当初、計画していた1万3200㎡の普通品倉庫(平屋)の建設は、新型コロナウイルス感染症の影響も踏まえていったん延期し、旺盛な需要が見込まれる危険物倉庫から先行着手する。

消防法第4類対応、リーチスタッカーも増備

1棟目となる危険物倉庫の床面積は約1000㎡で、消防法危険物第4類全般を扱い、保税蔵置場とする。保管効率を高めるため、ラックを導入し、照明、フォークリフトは防爆タイプを採用。敷地内では、危険物倉庫の増設やISOタンクコンテナの保管も行う計画で、荷役用のリーチスタッカーも増備する。

「危険物倉庫の建設は、新たな分野での挑戦と位置付けている。倉庫単独というよりも、周辺業務を含めて収益を拡大し、当社の他のビジネスとのシナジーを創出したい」と三浦社長は話す。輸送に関しては、これまでは危険物の取り扱いはなかったが、今後は対応も視野に入れているという。

人材育成に注力、新規ビジネス開拓も

丸山運送では「The080ビジョン」を提唱し、物流にシナジーを生む「80の事業」「80人の経営者」を社内から創出する計画を推進。1事業につき1億円の売上を計上し、80億円企業に向けた挑戦を続けている。また、年間売上の1%を教育の機会に充てるなど人材育成に注力し、新卒採用も近年強化している。

人材育成の一環として、新入社員が参加する「フレッシャーズキャンプ」を実施。次世代の経営者の育成を目的に、他社では5年かけて覚えるようなマインドセットやリーダーシップを1年で習得できるプログラムを導入。こうした取り組みによって、この4年間は入社後の離職率ゼロを継続している。

新規ビジネスの開拓にも力を入れており、19年には、本社のバックアップオフィス機能として取得した元印刷工場をリノベーションし、シェアオフィス、コワーキングスペース「STUDIO 080」をオープン。コロナ禍でのサテライトオフィス需要も後押しし、昨年の契約会員数は前年比2・5倍に拡大したという。
(2021年3月11日号)


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