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リンコーコーポが東港地区で大型倉庫を稼働

2019.09.12

リンコーコーポレーション(本社・新潟市中央区、南波秀憲社長)は、新潟港東港地区で建設中だった新倉庫が竣工し、9月から営業を開始した。延床面積約2万3600㎡の鉄骨造り平屋建てで、高床、低床バースに対応。全棟保税蔵置場とし、主に紙製品、樹脂などの輸出拠点として運用する。来年の東京オリンピック・パラリンピック対策では、京浜港の代替港として新潟港の活用が注目されている。同社では3月に新潟港初の大型危険物倉庫を稼働させており、輸出入貨物の受け皿となる物流拠点を増強することで、新潟港でのストックポイント需要を取り込みたい考えだ。

倉庫内作業の安全衛生にも配慮

新倉庫は東港支社の隣接地に建設。ターミナル8号(約6600㎡、高床)9号(約3300㎡、低床)および10号(約9900㎡、高床)で構成。有効天井高は6m以上を確保し、床荷重は高床式の8号、10号は1㎡あたり3t、低床の9号は6t。庇はいずれも8mとなっている。

3月に竣工した危険物倉庫と同様、WMS(倉庫管理システム)による在庫管理を実施。庫内には高所作業の安全確保のため、セイフティブロックを設置。暑さ対策としてファンや天窓を採用した。また、環境に配慮し、全館LED照明となっている。なお、8号と10号の一部は指定可燃物に対応する。

従来、同社の複数拠点や外部倉庫に分散していた貨物を新倉庫に集約。荷主の物流効率化に寄与する。輸出用の紙製品や樹脂、輸入木材の取り扱いがすでに始まっているほか、新規貨物を取り込むことで、年内をメドに満床となる見込みだ。

一般化学品と危険物との混載需要にも対応

なお、新倉庫の近接地で先行稼働した危険物倉庫(床面積約990㎡、鉄骨造りの平屋建て)は、消防法危険物第4類全般に対応し、引き合いが順調。普通品倉庫が同じエリアに立地している利点を活かし、一般化学品と危険物との混載需要にも対応していく。

今回新設した倉庫の敷地には、1万6500㎡規模の倉庫を建てられるスペースがあり、今後のニーズによっては増設も検討。一方で、危険物倉庫の旺盛な需要が見込まれることから、現有の施設に隣接して、新たな危険物倉庫の建設も視野に入れる。

荷主への報奨金制度で新潟港の利用促進へ

なお、京浜港の混雑やドレージ車両のひっ迫、京浜港の危険物倉庫の満床を背景に、 新潟港でのストックポイント需要が高まりつつある。来年の東京オリンピックでは、期間中に東京港の利用を回避するため、その代替港として新潟港の利用が検討されている。

新潟港では各種荷主への報奨金制度を設けており、中でも県外荷主が初めて新潟港を利用し、かつ、10TEU以上利用した場合、1TEUにつき輸出入とも4万円が補助される(1事業者あたりの上限あり)県の補助制度は、TEU換算により40ftだと2倍の8万円となる。
例えば、北関東の荷主が輸出する場合、通常は京浜港を使った方が距離が短いためドレージ費用を抑えられる。ただ、新潟港の報奨金制度を利用すれば、ドレージ費用の上昇分が相殺される可能性があり、新潟港の利用メリットが高まる。

新潟港は海上コンテナ車両がゲートに到着してからゲートアウトまで平均で20分とスムーズ。航路およびサービスが充実しており、太平洋側で災害が起きた際のBCP対策としても新潟港の利用が期待され、東京オリンピックを見据えトライアルも始まっているという。
(2019年9月12日号)


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