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国交省が車輪脱落事故防止へ緊急対策

2019.11.21

国土交通省は15日、8t以上のトラックや乗客定員30人以上のバスなど大型車の車輪脱落事故が急増していることを受け、日本自動車工業会(自工会、豊田章男会長)、全日本トラック協会(全ト協、坂本克己会長)、日本バス協会(三澤健一会長)ほか大型車の車輪脱落事故防止対策に係る連絡会に加盟する業界諸団体と連携し、事後防止に向けた緊急対策を呼びかけた。また、同連絡会内にワーキンググループを設置。年度内に効果的な事故対策を取りまとめることとした。

国交省によると2018年度の車輪脱落事故発生件数は81件で、前年度より14件増加した。うち人身事故は3件で軽傷者が5人だった。事故発生件数は15年度の41件より、16年度は56件、17年度は67件と増加傾向が続き、18年度は81件にまで増加。ピークとなった04年度の87件に迫る勢いとなった。また、18年度の事故発生月をみると、11月~19年2月に54件(66・6%)発生と冬期に集中していた。加えて、11~12月にタイヤ交換を実施した車両が30件(65・2%)と高い割合を占めていた。冬場に事故発生件数が増加することもあり、緊急で関係各団体への呼びかけを実施した。

同省によると、18年度の主な特徴として、冬期に多く発生する傾向に変わりはないものの冬期以外の発生が対前年度17pt増となった。積雪地域に多く発生する傾向に変わりはないが、対前年度1・6pt増となり、車輪脱着作業後1ヵ月以内に脱落が集中する傾向にあり、対前年度6・5pt増となった。また、左後輪の脱落が全体の9割を占め、対前年度8pt増加した。タイヤ交換作業が集中する11月の交換は対前年度15pt減少となった反面、12月の交換が対前年度17pt増加した。

新たな兆候として、ホイール・ボルトやホイール自体の錆の除去が不十分のままタイヤ交換されている可能性が考えられ、車齢4~6年経過した車両の脱輪事故が多発していた。

全ト協、自工会が事故対策リーフレット

それに伴い、全ト協では、車輪脱落事故の発生状況等のデータとともに、車輪脱落を防ぐための具体的な対策を記したリーフレット(写真)を作成し、会員事業者に向けて配布。日常点検と定期点検の確実な実施に努めるとともに車輪脱落事故防止の徹底を要請した。同リーフレットでは、ユーザー自らがタイヤ交換を行う際には特に左後輪に注意するよう指摘。新しい大型トラックには新ISO方式の右ねじが採用されていることを強調した。また、車輪脱落を防ぐ4つのポイントとして「確実な締め付け」「増し締めの実施」「日常の点検」「ホイールの履き替え」に重点的に留意することや、JIS方式と新JIS方式でのホイール・ボルト、ホイール・ナットの種類と相違点などを図版により詳細に説明した。

また、自工会では「落ちない車輪キャンペーン」を展開。大型車の車輪脱落ゼロを啓発するリーフレットと、車両に貼付する日常点検強化をアピールするステッカーを作成し、関係団体への周知徹底を図っている。
(2019年11月21日号)


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