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『超・物流』実現へ、新生F‐LINEが発足

2019.04.04

味の素物流、カゴメ物流サービス、ハウス物流サービス(事業の一部)、F‐LINE㈱、九州F‐LINE㈱の物流事業を統合し、食品メーカー5社が出資する全国規模の物流合弁会社、新生「F‐LINE㈱」(本社・東京都中央区、深山隆社長)が1日、発足した。食品物流の課題解決に向け、メーカーと物流会社が協働し、安定的な物流体制を構築する。深山社長は、新会社のミッションとして①物流の整流化②食品・日用品等各業界における物流プラットフォーム構築③人材開発、設備投資、物流R&D(研究開発)の推進――を掲げ、F‐LINE㈱のロゴの矢印に込められた“超える”を念頭に、「常に新しい着想、戦略を持ち、旧来の物流を超えた『超・物流』の実現を目指す」と意欲を見せた。

人材の融合を図り、永続的な物流競争力を実現

食品メーカー4社(味の素、カゴメ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社)が均等出資し2017年3月に設立されたF‐LINE㈱、同4月に設立された九州F‐LINE、カゴメ物流サービス、ハウス物流サービスの事業(一部を除く)について、味の素物流を存続会社とした事業統合を行うとともに、日清オイリオグループが新たに出資し、商号を味の素物流から「F‐LINE㈱」に変更した。

新生「F‐LINE㈱」の資本金は24億8000万円で、出資比率は味の素45%、ハウス食品グループ本社26%、カゴメ22%、日清フーズ4%、日清オイリオグループ3%で、売上高規模は約980億円。貨物自動車運送事業、貨物運送取扱事業、倉庫事業、通関業、港湾運送事業などを事業内容とする。従業員数は約2550人、車両台数は約600台。メーカー直結の、全国ネットワークを強みとする食品物流会社としてスタートを切った。

都内で開かれた発足式には約240人が出席。深山社長は「15年2月に食品メーカーによるF‐LINEプロジェクトが発足し4年が経過した。かつてない厳しい環境にある物流業界の転換期に新たな一歩を踏み出せることは意義深い。今日から自立した物流会社として走り出した。一刻も早く統合会社のノウハウ、機能、強みを活かし、人材の融合を図り、永続的な物流競争力を実現させなければならない」と挨拶した。

食品ビジネスのあり方に物流の立場から立ち向かう

食品物流の今後のあり方として、昨年の災害時を振り返り「鉄道も航空会社も運行(運航)の可否を自らの責任で決められるのに、なぜ我々は可否を決める主体者になれないのか。また、行き過ぎた販売競争に伴う納品期限の厳守により、物流が必要以上にタイトになり、ムリとムダを重ね、コストを押し上げ、大量の食品ロスにつながっている。ロスと廃棄を前提とした食品ビジネスのあり方に物流の立場から立ち向かうべき」と提言。

さらに「行き過ぎた競争や必要ないオーバースペックなサービスが横行している中、真に新しい、合理的かつ強い物流をつくり、良質な社会、健全な消費生活をつくり上げる時期にある。競争、協調領域を明確にし、F‐LINEプロジェクトメーカーと連携し、新しいSCM形成に貢献するための営業のあり方、原料調達、生産プロセス、品質管理に物流の立場から踏み込み新しい提案につなげていく」と方針を示した。

社員が食品物流を引っ張っていく自信と気概を

鏡開きの後、乾杯の発声を行った岡本尚久取締役専務執行役員は「F‐LINEのFは、food(食品)、future(未来)だけでなく、forward(先に行く)、function(機能)、fresh(新鮮)という意味もある。それぞれ歴史を持った会社がひとつになり、メーカーの物流子会社という上下の関係でなく、横の関係をつくり、社内でも経営陣と社員の距離を近づけたい」と述べた。

出資5社代表からの祝辞では、味の素の高藤悦弘代表取締役専務執行役員食品事業本部長が「F‐LINE㈱とF‐LINEプロジェクトは両輪で製・配・販や行政を動かす大きな力となってほしい」、ハウス食品グループ本社の松本惠司代表取締役専務が「全国組織としてスタートし、感無量だ。まだ一歩を踏み出したところでこれからが大事」とエールを贈った。

また、カゴメの高野仁執行役員SCM本部長は「F‐LINE㈱の趨勢、成否は業界から注目され、夢を託されている」、日清フーズの岩橋恭彦常務取締役加工食品事業部長兼同部第一部長は「社員の皆さんが食品物流を引っ張っていく自信と気概を持ってほしい」、日清オイリオグループの河原﨑靖取締役常務執行役員生産技術開発部長兼生産統括部長は「発着荷主含めて支持される立派な会社になってほしい」と述べた。

閉会の挨拶でF‐LINEの松田宏巳取締役専務執行役員は、「軸としたい言葉は不易流行。変えてはならないのは、品質、収益、現場力の向上。これを実現するため、食品物流で培った知識と取引先との信頼関係を深めていく必要がある。一方、請負体質、物流子会社から脱却するために能動的に仕掛け、食品物流の持続可能・整流化を提案し、これを実行に移していくことにより、自立し、荷主、業界全体に貢献できる存在感のある会社に成長できる」と述べた。

なお、発足式では、物流子会社3社の歴史や新生F‐LINE㈱の各事業所の映像もスライドで紹介。社旗の寄せ書きも披露された。
(2019年4月4日号)


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