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F‐LINEが九州に大規模拠点開設

2018.10.18

加工食品メーカー6社(味の素、カゴメ、日清フーズ、ハウス食品グループ本社、Mizkan、日清オイリオグループ)による食品物流プラットフォーム「F‐LINEプロジェクト」で、九州での物流業務を担当する九州F‐LINE(本社・福岡市糟屋町、深山隆社長)は11日、共同配送センターとして「福岡第一営業所」(福岡市東区)を開設した。延床面積4万㎡超は食品専用物流拠点としては国内最大級。各種自動化・省力化設備を導入し、共同物流の〝旗艦拠点〟となる。開所式で挨拶に立った深山社長は、来年1月以降に順次始める九州における共同配送開始を前に、「『競争は商品で、物流は共同で』という6社の合言葉に則って、その意を実現した新しい物流センターが船出を迎えた。この営業所を成功に導き、F‐LINEが目指す実例を示すことが、F‐LINEグループの使命だ」と語った。

パレタイズロボットを導入、入出庫を自動化

福岡第一営業所は敷地面積2万2955㎡、延床面積約4万2000㎡。鉄骨造り地上4階建て。高度な免震構造を備え、庫内には高い効率性と省人化を実現するため、F‐LINEとダイフクが共同開発したマテハン設備を導入。具体的には、1階には高性能ハイブリッドAGV(自動搬送機)を3台導入し、入出庫作業の省力化を実現。1・2階は主に荷ぞろえが完了したパレットの仮置き場として活用するが、1階部分に設備したパレット・バッファ倉庫(最大保管パレット数は756パレット)はシャトル台車によりパレットが取り口に自動搬送される機能を持ち、スムーズで迅速な積み込み作業が可能となっている。

3階には自動倉庫(最大保管ケース数は2万1931ケース)を設置。パレタイズ・デパレタイズロボットを導入し、小口品の入出庫を自動化。ロボットは画像と音波による認識機能を備え、複雑なハンドリング作業を行える。4階には最大保管数1464パレットのパレット自動ラックを設備。フォークリフトによるラックからの取り出し時の上下作業削減を可能にし、パレットを取り除くと奥の棚から自動で商品が補充される仕組みとした。

なお、1階は両面バースを採用し、東西に高床・低床バースをそれぞれ10バース設け、ドックレベラーを5基導入。2階部分にも低床バースを10バース設けた。車両は大型車から中型車、トラクタを含め全37台、フォークリフトはカウンター、リーチなど合計77台配備する。

「福岡第一営業所」の立地は、福岡香椎浜アイランドシティに位置し、福岡ICからは10㎞圏内。20年には福岡高速道路6号線がアイランドシティに直結する予定で、さらなるアクセス機能向上が期待される物流最適地。配送エリアは九州全域と山口県の一部をカバーし、配送物量は標準日で約800t、繁忙日で約1600tを見込む。今後、配送エリアの分割・シェアを見直し、協力会社との連携の緊密化を図ることで、積載率の高い配送を目指す。

食品専用で保管能力120万ケースは東洋一

開所式では、F‐LINEと九州F‐LINEの社長を兼務する深山氏が、「当センターの保管能力は加工食品120万ケースであり、食品専用の物流センターでは東洋一の規模。加工食品物流のネットワークの機能強化に力点を置いた設計とした」とコンセプトを説明。

導入する最新マテハン機器について、「品質と作業性、生産性と安全性という同時並立的な画期的なものだ。メーカーのSCMと物流会社のロジスティクスを一体化させて、さらに、消費者に食べていただくための品質を、いかに確実にリーチしていくかということに重きを置いた」と説明。

現在の物流業界について、「ドライバー不足に始まり、物流現場の高齢化が加速するなど危機的な状況だ。追い打ちをかけるかのような昨今の天候不順(大雨・台風・地震)が続き、環境はますます厳しくなっている」と強調。「そうした状況下、永続的な物流競争力を獲得するため、メーカー・物流会社が一体となり、総力を結集したF‐LINEプロジェクトは、北海道・九州で株式会社としてスタートしたのに続き、来年の4月には新たに5社目の日清オイリオの出資を得て全国統合の新生『F‐LINE』社がスタートする。それに先立つ大きなシンボルとして、福岡第一営業所は栄えあるF‐LINE社の目指す物流拠点の実例として位置付けられている」と語った。

念願だった1拠点による6社共配が実現

来賓のハウス食品グループ本社生産・SCM本部の松澤新SCM部長は、「来春の新生統合『F‐LINE』とほぼ軌を一にして、念願だった一拠点による6社の共同配送が実現することは、まさにエポックメーキングな出来事だ。F‐LINEのFはFUTUREの意味であり、まさに食品物流の未来を形づくる象徴となる」と強調。加えて、「食品物流の環境はますます厳しくなっており、軒先条件の緩和・改善など製・配・販の課題の解決への取り組みは待ったなしだ。そうした中でF‐LINEプロジェクトは、ひとつ屋根の下に集まって、プラットフォームという新しい家を作り、家族となったと思っている」と述べた。

大分エリアの配送を担当するNBSロジソル(本社・大分県日田市、河野逸郎社長)の十時康裕会長が挨拶に立ち、「F‐LINEのFはFUTUREであり、FOODSのFだと考えているが、もうひとつはFRAMEWORK(フレームワーク)のFでもある。フレームワークは骨格・基盤という意味であり、F‐LINEが食品業界のプラットフォーマーになるべき存在となることを期待しており、精一杯協力していきたい」と述べた。
(2018年10月18日号)


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