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SBSHD/18年2Qは増収増益、通期も上方修正

2018.08.23

SBSホールディングス(本社・東京都墨田区、鎌田正彦社長)が10日に発表した2018年12月期第2四半期の決算は、物流事業の伸長で増収増益となった。下期以降は今月1日付でグループ入りしたリコーロジスティクスの収益が上乗せされることなどから、今年2月に発表した通期の連結売上高と営業利益の予想を上方修正。10日に開かれた決算説明会で鎌田社長(写真)は、同社とのシナジーについて「BtoBの全国宅配ネットワークを早期に実現し、3PL拡大にもつなげたい」との意向を示した。

3PLでの新規顧客拡大が収益増に寄与

18年12月期第2四半期の連結業績は、売上高771億7800万円(7・5%増)、営業利益23億3700万円(34・1%増)、経常利益22億3300万円(8・6%増)、純利益12億2100万円(13・9%減)。人手不足に係るコスト増もあったが、主力3社を中心とした物流事業の伸びが売上、利益ともに押し上げた。

物流事業の売上高は724億3200万円(7・9%増)、営業利益16億5300万円(78・1%増)。SBSロジコムにおける新規顧客獲得や不採算事業撤退で倉庫収支が改善したほか、SBSフレックとSBSゼンツウでは既存顧客の荷動きが好調。SBSフレックでは今期、料金交渉も開始した。SBS即配サポートのECラストワンマイル事業も拡大し、同社の増収分が物流事業の売上増の半分を占めるに至ったが、利益面ではコスト先行となった。

下期以降の投資案件としては、19年3月竣工予定の「南港物流センター」(延床面積6・1万㎡、大阪市住之江区)が大手百貨店や小売業などで6~7割内定済み。21年夏にA棟が、23年春にB棟が竣工する「野田瀬戸プロジェクト」(千葉県野田市)は350億円を投じる同社最大規模の拠点となるが、リコーロジとともにEC通販事業者の3PLなどテナントを募集し、自動化やロボットの実験導入も視野に入れる。

BtoB宅配全国ネットワークを早期実現

18年12月期の下期は、グループ入りしたリコーロジとのシナジー発出への注力を強める。
とくに、リコーロジが大塚商会から受託するオフィスサプライ通販「たのめーる」の配送に注目。軽自動車を用いて全国へ配達するもので、SBS即配サポートの1都3県向けBtoB宅配サービスと組み合せた全国ネットワーク化を図る。宅配運賃の値上げを背景に即配サービスへの引き合いは強く、全国配送への要望も多いという。既にプロジェクトチームを立ち上げ、幹線輸送を含めたネットワーク構築に着手。関西や中部を皮切りに全国へと広げ、将来的には3PLの受託にもつなげることで「成長戦略にかなり役立つ」と鎌田氏は期待を寄せた。

3PLでも、SBSロジコムの拠点が関東と大阪に集中するのに対し、リコーロジは全国で展開していることから連携を強化。リコーとも提携しながら、AIや自動化技術を用いた“未来型のロジスティクス”も大型倉庫で具体化していく。輸送面ではリコーロジが庸車中心であることを踏まえ、SBSグループのトラックを有効に活用。食品輸送用に運行している1000台以上のパワーゲート車を、リコーロジの電子部品や精密機器輸送にも使用できるよう、ドライバーの教育を進める。

SBSグループで長年の懸案事項である海外事業では海外現地法人の赤字が続くが、たとえば香港や上海などリコーロジと重複する現地法人の再編を検討するとともに、同社が拠点を持たないタイやベトナムではSBSグループの現地法人がリコーの生産拠点などに物流を提案。SBSグループが拠点を持たないオランダ、カリフォルニアではリコーロジのネットワークを活かし、「同じところに工場があるお客様を、同じ輸送網に載せるようなプロジェクトも始まっている」(鎌田氏)とした。

18年12月期通期の連結業績予想は、売上高を2月発表値から26・3%増の2020億円(前期比32・1%増)、営業利益を7・1%増の75億円(20・4%増)とし、経常利益は当初見込みを据え置いた72億円(11・2%増)。純利益は同9・1%減の40億円(10・0%減)とした。リコーロジの半期分の売上高(370億円)を上乗せするとともに、既存取引の拡大で売上高は2000億円を超える見込み。営業利益はリコーロジ事業が期末(3月)偏重であることや、のれんの償却、M&Aのデューデリジェンス費用を加味し、増益幅を限定的とした。

鎌田社長は来期以降の見通しについて「このまま行くと2400~2500億円規模になり、3000億は5年ぐらいで達成できる」と改めて自信を示した。
(2018年8月23日号)


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