18年度は過去最高970万t達成へ=全国通運
全国通運(本社・東京都中央区、杉野彰社長)は2018年度、過去最高実績となる年間970万tの取り扱いを目指す。同社の杉野社長が3月28日に開かれた記者会見で明らかにした。前期に導入を開始した31ft冷凍コンテナを増備して温度管理物流を強化するほか、複数の荷主企業と共同で進めている「モーダルシフト推進協議会」の活用を深度化することで需要を掘り起こす。また、今年度は輸送力確保の観点から海上輸送への取り組みを強化する方針も明らかにした。
同社の17年度の輸送実績は前期比0・6%増の951万t程度となる見通し。上期は順調だったが、下期は雪害など輸送障害の影響から伸び悩んだ。「結果、過去3番目の実績にとどまる見通しだが、もっと需要を取り込めるポテンシャルがある」(杉野社長)として、18年度は07年度に記録した965万tを上回る記録更新を目指す。
施策では、前期に8個導入した31ft冷凍コンテナを18個まで増強し、食品を中心とした温度管理物流をさらに強化する。現在は特定顧客への対応にとどまっているが、今後毎年10個程度を新規投入して50個体制に拡充、全通系ネットワークとして温度管理物流の需要拡大に対応していく。
また、17年度に20ftコンテナ換算で4050個分となったリニア新幹線建設工事発生土砂の輸送業務についても、18年度はさらなる拡大を見込んでいる。
さらに、複数の荷主企業と共同で進めている「モーダルシフト推進協議会」の活動についても、「鉄道輸送力がタイトになってきている中で、土日の輸送枠の活用やオーダーの平準化など、荷主企業とモーダルシフトの阻害要因を共同で解決していく取り組みがさらに重要になる」(杉野社長)として、さらなる活用の深度化・拡大を図っていく。
他方、フォワーダーとして輸送力を確保していく必要があることから、今期は海上輸送への取り組みも強化する。同社はもともと、北海道産の小麦輸送で年間20万t程度を海上輸送しているため、海上輸送への知見があることから、フェリー会社と共同で勉強会を立ち上げるなど海上輸送拡大に向けた検討を開始する。杉野社長は「元請事業者として船の利用もできる会社に成長していく必要がある。逆にそのことが、当社の基軸である鉄道コンテナ輸送を守っていくことにもつながる」と述べた。
4月から「氷感SO庫」の運用をスタート
全国通運は、今月から鮮度維持が可能な温度管理コンテナ「氷感SO庫」を利用した輸送を開始する。荷主は佐川急便で、札幌貨物ターミナル~隅田川、東京貨物ターミナル~福岡貨物ターミナルの2区間往復でコンテナ各2個・計8個を運用する。輸送する荷物は鮮魚、花卉、野菜など。
「氷感SO庫」はジェイアール貨物・南関東ロジスティクスが開発した鮮度維持機能を持った保冷コンテナで、遠隔操作で鮮度をコントロールすることができる。
(2018年4月5日号)