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【鉄道輸送】全国通運連盟が「鉄道利用運送推進全国大会」開催

2018.02.08

全国通運連盟(渡邉健二会長)は2日、都内で「第13回鉄道利用運送推進全国大会」を開催した。当日は全国の通運事業者や荷主、JR貨物、行政などの関係者が多数出席し、鉄道コンテナ輸送の拡大に向け活発な議論を交わした。

冒頭、挨拶に立った渡邉会長は「日本経済はゆるやかに回復している一方、求人倍率はバブル期を超えるなど人手不足、ドライバー不足が深刻化している。また、一層の地球温暖化防止を求めるパリ協定が発効2年目を迎え、日本は2030年度に13年度比で26%の温暖化ガス削減を目指すとしており、鉄道貨物輸送への関心が一層高まっている」とした上で、「我々通運事業者の最大の使命は、鉄道コンテナ輸送へのモーダルシフト推進。改正物効法で初めてモーダルシフトが法的に位置づけられたが、こうした国の動きに対応して、生産性向上を図りつつ、さらなるモーダルシフトの推進や定着に向けて取り組みを強化しなければならない。しかし、その一方で労働力不足は通運業界をも直撃しており、集配の現場では荷主の理解を得ながら働き方改革を進めていく必要がある」と指摘。「鉄道コンテナの定着にはあくまでもお客様に喜ばれる高品質なサービスの提供にある。そのためには、鉄道コンテナ輸送が持つ定時大量性や環境にやさしいといった強みを発揮すると同時に、輸送障害や荷物事故などの弱みを全力で克服する必要がある。併せて、鉄道コンテナ輸送への認知度向上がきわめて重要だ」と強調した。

続いて、来賓として国土交通省の重田雅史物流審議官、JR貨物の田村修二社長が挨拶した。

トラック隊列走行の実用化に向けた課題を整理

今回の大会では、技術開発が進む自動運転をテーマのひとつに据え、国土交通省自動車局の佐橋真人・自動運転戦略室長が行政としての取り組み状況を報告したほか、高速道路調査会の杉山武彦理事長(一橋大学名誉教授)が「隊列走行構想の進捗状況と今後の課題」をテーマに講演した。

この中で杉山理事長は、トラック隊列走行の実用化に向けたビジネスモデルの課題を整理し、「隊列事業会社による隊列輸送のスキーム化が必要」だと指摘したほか、(1)複数社による運用、(2)隊列技術は国内規格を統一、(3)早期実現には数百台以上が商用運行できるインフラと法規制の整備が不可欠――などの課題を提示。さらに物流政策においては「モーダルシフト政策の観点から、鉄道輸送との優位性比較と鉄道への並行支援を考える必要がある」などと述べた。

内航+鉄道、近距離など新たな事例も紹介

また、大会では新たな鉄道コンテナ輸送の活用事例として、日本通運の田中慎一ネットワーク商品企画部長が「内航輸送を利用した鉄道コンテナの拡販」、清水運送の杉山成通運部長が「静岡~関西圏への近距離輸送」をテーマに講演した。

このうち日通の事例では、同社が昨年から発売した内航と鉄道を組み合わせた輸送商品「NEX―NET Sea&Rail 東京ランドブリッジ」や、同社が開発した内航と鉄道の両モードで使用できるハイブリッド12ftコンテナを紹介。田中氏は「内航輸送の場合、港までのトラック輸送の距離が長いとトラックの手配ができず、営業エリアが限定される場合がある。そこに鉄道を組み合わせることで商圏が広がり、鉄道コンテナの拡販にもつながる」などと述べ、両モードの優位性を活かしたモーダルシフト戦略の優位性を強調した。

なお、大会では最後に、通運連盟の高林秀典常任理事(八戸通運社長)が大会決議文を読み上げ、採択された。
(2018年2月8日号)


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