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【EC物流】改正省エネ法、年度内にも新たな特定荷主基準案

2018.01.30

改正省エネ法の特定荷主の基準見直しに向け、年度内に新たな荷主判断基準案とガイドライン案が策定される見通しが出てきた。経済産業省・資源エネルギー庁では昨年12月から荷主判断基準に関する勉強会を立ち上げ、各業界の現状調査を開始。その結果をもとに年度内には判断基準とガイドラインの案を策定し、今後、省エネルギー小委員会の下に設置される「荷主判断基準ワーキンググループ(WG)」で審議する方針という。

新たな荷主判断基準では、現在の基準である「年度間の貨物輸送量3000万トンキロ」を超える荷主企業による制度参加の徹底に加え、3000万トンキロという基準そのものの引き下げも視野に入れられているようだ。

基準追加で大手EC事業者も特定荷主へ

「荷主判断基準勉強会」(矢野裕児会長・流通経済大学教授)ではBtoC取引における荷主判断基準の追加事項と、BtoB取引を含めた基準の見直しを検討。とくにBtoC取引では、輸送量が大きいながらも現在は制度の対象外となっている大手EC事業者も特定荷主に含められる基準策定を図る。さらに、小売・外食産業のフランチャイズ本部や着荷主といった、輸送業務を直接手配しないものの貨物の受け渡しや輸送に一定の影響を与える事業者に対しても、省エネへの取り組みを促すためのガイドライン策定も協議する。

昨年12月25日に開かれた第1回会合では学識者など2人の委員のほかオブザーバーとしてメーカー、小売り、物流業界から15の団体と大手EC会社3社(アマゾンジャパン、ヤフー、楽天)が招集され、現行の改正省エネ法の実施状況が説明された後、新たな特定荷主判断基準について各業界の意見を募った。また、判断基準の見直し・追加の前提となる取り組みの類型化に関する意見も求められた。

その上で、荷主である10業界団体の加盟会社とEC3社に対して、各社の物流体制とCO2排出量削減策、改正省エネ法への対応などに関するアンケートへの協力を要請。アンケートは2月開催予定の第2回会合までに集約して、同会合で荷主判断基準の見直し案とガイドラインの構成案を提出する方針が示された。さらに、ヒアリング調査も実施した上で、3月開催予定の第3回会合ではその結果と荷主判断基準の見直し案、ガイドライン案について再度意見を募る計画とした。

エネルギー消費全体で特定荷主は2割ほど

省エネ法(エネルギー使用の合理化等に関する法律)は2005年の改正で運輸部門が対象に含まれ、年度間に3000万トンキロ以上を輸送する企業を「特定荷主」と規定して、省エネに資する取り組みを進めてきた。しかし、現在の特定荷主がエネルギー消費全体に占める割合は2割程に止まっており、特定荷主の判断基準を見直すことで、3000万トンキロ以上輸送するにも関わらず特定荷主に該当していない企業を対象に加えながら、より多くの荷主企業の省エネ策を促したい考えだ。

資源エネルギー庁では今期、小委員会などで今後の省エネ法の在り方について協議。昨年8月には、荷主判断基準の追加・見直しや、企業間連携による省エネ施策「連携省エネ」の促進に向けた支援措置などを含めた意見書を取りまとめていた。一方、荷主判断基準の引き下げについては、各荷主業界から中小事業者の負担増加を懸念する声も挙がっている。
(2018年1月30日号)


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