【物流効率化・倉庫】ニトリが日本初、無人搬送ロボット「バトラー」稼働
ニトリホールディングス(本社・札幌市北区、白井俊之社長)と物流子会社のホームロジスティクス(同、松浦学社長)は1日、「プロロジスパーク茨木」内に開設した西日本通販発送センター(大阪府茨木市)で、日本初の無人搬送ロボット「Butler(バトラー)」の稼働開始および海上コンテナからのデバンニングアシストマシーン導入について、報道関係者向けに公開した。バトラーはニトリの取り扱いアイテムの8割に対応可能で、人手の場合と比較し、出荷効率は4・2倍を実現。今後、最終的には5倍以上を見込んでおり、対象商品の拡大、出荷検品/梱包作業の効率化、入出庫ロジックの最適化に取り組む。
商品構成変化に対応、誰にでも作業が可能に
バトラーは、物流センターの床面を移動するロボットが可搬式の棚の下に潜り込み、 作業者の元に棚ごと商品を届けることで、 センター内の省人化を実現する画期的な物流ロボットシステム。インドのロボットベンチャー企業GreyOrange社が製作し、日本での販売をGROUND(本社・東京都江東区、宮田啓友社長)が手掛けており、商品の棚入れ・ピッキング作業工程において、従来型の作業方法に比較して大幅な省力化を実現できる。
今回、約80基を導入し、メリットとして、ホームロジスティクスの松浦社長は①固定設備が少なく、移転が比較的容易であること②商品構成変化に対応可能で、移動ラック内(MSU)の仕切り変更が最大100㎝×100㎝×200㎝までできること③モニターやランプ、プロジェクター照射による作業指示、誘導により誰にでも作業が可能であること――を挙げた。
ニトリの取扱量は日本国内の輸入コンテナの2%に相当し、家具の組み立て配送は年間320万件、配達件数は年間550万件に上る。松浦氏はニトリの物流の現状として、近年、「店舗で下見し、通販で購入する割合は66・7%となっており、徐々に比率が伸びている。また、同じ体積を運んでも家具の場合は物流費率が高いことが特徴で、コストマネジメントが不可避となる」と説明した。
さらに「ニトリの通販の出荷はこの5年間で2・7倍に増えた上、今年度は1・5倍になり、さらに来年も増加が見込まれ、人手や倉庫スペースの拡充が必要となる。ただ、物流センターでピッキングなどに要する歩行距離は平均2万歩という状況で、人手に依存すると疲労などからピッキングミスなど作業精度の低下が懸念される」と課題を報告した。
このため物流センターでの省力化を可能とするテクノロジーの導入を推進。川崎市内の通販発送センターでは、自動倉庫型ピッキングシステム「AutoStore(オートストア)」を導入しているが、取り扱いアイテムの60~65%しか対応できないという課題があった。バトラーは、取り扱いアイテムの8割まで対応可能。オートストアに比べ保管密度が低く、バーコードを貼付する床の管理精度も求められるが、効率化効果が上回ると判断した。
松浦氏はこうした物流におけるテクノロジーに関し、中国、インドのユーザー数が日本を圧倒的に上回っている現状を指摘した上で、今回の日本初のバトラー稼働開始について、「当社がファーストユーザーにこだわるのは、運用も含めてノウハウを身につけ競争力を高めたいため。当然リスクはあるが、先進国のスピード、発展を敏感に感じ、物流を変えていきたい」と語った。
デバンニングアシストマシーンも導入、全自動化へ
また、同センターで導入したバンニング、デバンニングアシストシステム「EL―De/VAN」はニトリと村田機械と共同で開発。コンベアとリフター装置で構成され、高所での積み付け、積み下ろしも身体に負担のない姿勢で楽に作業できるため、労働安全衛生の向上やトラックの待機時間削減につながる。現在は作業負担を減らすアシスト機能にとどまっているが、将来的には全自動化を目指す。
(2017年12月7日号)