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「改善基準告示の見直しは大きな前進」=運輸労連/定期大会  

2018.07.10

運輸労連(難波淳介委員長)は4・5日の両日、東京都台東区の浅草公会堂で「第51回定期大会」を開催し、2018年度の運動方針などを決定した。難波委員長は挨拶の中で、6月29日に可決・成立した働き方改革関連法案について「自動車運転者の時間外労働上限規制の一般則適用(年720時間)は叶わなかったものの、衆参両院の付帯決議で、現行の改善基準告示における過労死基準を上回る総拘束時間の早期見直しを求める内容になったことは大きな前進だ」と述べ、労働側からの強い働き掛けによる一定の成果を強調した。

政府「骨太の方針」でも改善基準告示見直しに言及

難波委員長は大会初日冒頭の挨拶で、まず、一般則適用などを目指して衆参両議長に提出した請願署名で、当初目標としていた100万筆を大きく上回る185万筆の署名が集まったことに感謝を述べた。
その上で、一般則適用は叶わなかったものの、改善基準告示の見直しが付帯決議に盛り込まれたことを評価。「6月15日に発表された政府の『骨太の方針』でも、自動車運送事業については、『自動車運送事業の働き方改革の実現に向けた政府行動計画』を着実に実施するとともに、改善基準告示の見直しなど必要な施策の検討を進めることが明記された」として、今後も「運輸労連が2年前の定期大会で決定した総拘束時間3300時間という目標に向け、関係各社への働き掛けを強めていきたい」と語った。

トラックの「兼業・副業」に対し改めて反対を表明

働き方改革のメニューとして解禁が検討されている「兼業・副業」については、「労働時間の縮減で減収となる分を埋める手法として、兼業・副業を組み込んだ働き方を主張する経営者が出てくるかもしれないが、長時間労働の是正が喫緊の課題であるトラック運送事業にはそぐわない働き方であることを強く訴えていきたい」と述べ、運輸労連として反対することを改めて強調した。その上で、総拘束時間の縮減が単純な賃金水準のダウンにならないよう、賃金体系を見直す必要性に言及した。

長時間労働是正が賃下げにならないように

さらに、2018春闘については、「中小労組の頑張りが目立った」として、「賃金に対する中小企業経営者の意識変化が感じられた。これまで我々が春闘交渉で主張してきた賃金等労働条件に対する考え方に企業経営者の考え方が近づいてきた」と評価した。ただ、同業他社などへの人材流出防止を目的とした企業防衛的な側面が強く、企業経営者の中には月例賃金の引き上げに対する抵抗感も根強いと指摘し、「来春闘の大きなテーマとして、長時間労働の是正が賃下げにならないよう固定給部分を厚くするなどの賃金諸制度の見直しを進めていかなければならない」と述べた。

BtoB物流に対する社会的認知度はまだまだ

難波委員長は、「この一年は物流に関する報道が格段に増え、社会的認知度は上がった。ただ、その中心はECなど宅配便事業」だと指摘。「物流システムの根幹に対する認識や認知が進んだかと言えば、まだまだだ。全国各地から大消費地への農産品物流、工場間移送、量販店への配送など、一般消費者が直接目にする機会が極めて少ない物流システムこそが社会インフラとしての物流だ。この物流システムを支えるドライバーが不足していることの認識を社会全体で共有することが必要」と述べ、BtoB分野の認知度を高めていく必要性を強調した。
(2018年7月10日号)


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