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海コン輸送、ターミナル待機は「荷待ち時間」に該当

2024.10.01

港湾地区のコンテナターミナル(CT)で発生する海上コンテナ車両のゲート待機について、荷主や倉庫などの施設の都合によってドライバーが待機している時間を示す「荷待ち時間」に該当するとの解釈が明らかになった。東京都トラック協会海上コンテナ専門部会(宮治豊部会長)が8月28日に開催した会合で、国土交通省関東運輸局の担当者が見解を示したもので、「標準的な運賃」で定められた「待機料」の適用対象となることも併せて確認された。

長時間待機、労働時間ルール違反のリスク

東京都トラック総合会館で開かれた会合には、東ト協海コン専門部会の部会長、副部会長、業務委員長など8人、「トラックGメン」を所管する関東運輸局自動車交通部貨物課および東京運輸支局輸送担当より5人が出席。一般のトラック輸送とは異なる形態をとる海コン輸送について、その課題を説明するとともに、荷待ちや「待機料」に関する質疑が行われた。

東京港のCTでの待機は、現状、おおむね2時間以内におさまっているが、特定のターミナルで6~7時間の長時間待機が発生する日もある。4月からトラックドライバーの時間外労働規制と新たな改善基準告示が施行され、労働時間ルール違反のリスクや翌日の乗務への影響が大きいことから、CT待機の改善を求める声が高まっていた。

荷主の工場や倉庫で長時間の荷待ちが発生している場合、国交省の「相談窓口」または「目安箱」に“通報”し、「トラックGメン」が是正指導を行う仕組みがあり、一般のトラック輸送では是正指導により改善した例もみられる。一方、海コン輸送は一般のトラック輸送と業態が異なるため、荷待ちの解釈の曖昧さが指摘されていた。

具体的には、①荷主から直接ではなく、海貨業者を介して輸送依頼を受けることが多い②「台切り」(シャーシの切り離し)が可能な工場や倉庫での荷待ち以上に、CTでの待機の方が深刻③CTの運営事業者と海コン業者は契約関係にない――といった海コン輸送特有の事情から、とくにCTでの待機について責任主体の判断が難しかった。

CTへのヒアリングや改善の働きかけも

こうした課題を踏まえ、国交省の考え方を確認するため、東ト協海コン専門会合の要望で会合が開かれたもの。質疑では、CTでの待機について、一般のトラックで言われている「荷待ち」に該当すると関運局担当者からの説明があり、長時間待機が発生しているCTへのヒアリングや改善への働きかけも行うとされた。

また、物流・自動車局が所管する「トラックGメン」が、港湾局が所管する港湾地区での待機時間問題に介入しにくいのではないかという懸念に対しても、国交省内で港湾局とも情報の開示・共有を図っていく意向が示された。
CTでの待機についてはほとんど「待機料」を収受できていないが、関運局担当者からはCTでの待機にも「待機料」が適用されるとの説明があった。ただ、輸送依頼元である海貨業者から真荷主まで転嫁できるか、運賃を売り手が負担するCIFやCFR取引の場合はどうするか、荷主がCTを利用している船社に「待機料」を負担させることは可能か――といった課題も残る。
東ト協海コン専門部会の宮治部会長は、「CTでの待機問題について理解をいただき、国交省の考え方や前向きな意見をうかがえたことは大変有意義だった」とし、9月18日の同部会の会合で内容を会員事業者に報告。11月には関東トラック協会海コン部会の会合でも情報の共有を図る予定だ。
(2024年10月1日号)


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