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SGHD、1株5740円でC&FロジにTOB

2024.06.06

SGホールディングス(本社・京都市南区、栗和田榮一会長)は5月31日、C&Fロジホールディングス(本社・東京都新宿区、綾宏将社長)に対しTOB(株式公開買付け)を実施すると発表した。同日、C&FロジはTOBに対して賛同の意を表明、株主に対しTOBへの応募を推奨した。C&FロジにはAZ‐COM丸和ホールディングス(本社・埼玉県吉川市、和佐見勝社長)がTOBを実施中で、物流業界初の「同意なき買収」として注目を集めたが、SGHDが実質的なホワイトナイトとして名乗りを上げたことで、状況が大きく動いた。

SG側「大切なパートナー」、シナジー強調

SGHDは、5月31日の取締役会でTOBの実施を決議し、今月3日からTOBを開始した。買い付け期間は7月12日までの30営業日。C&Fロジの全普通株式2155万7194株を取得し、完全子会社化を目指す。

買付価格は1株あたり5740円で、AZ‐COM丸和が提示した3000円を大きく上回る。全株式を取得した場合の買付総額は1237億3829万円にのぼる。5740円という価格は、C&Fロジの31日終値である4865円を18%上回るほか、AZ‐COM丸和によるTOB公表前の株価2041円(3月21日)の約2・8倍に達する。

31日夕方に急きょ開催された会見には、SGHDの松本秀一社長(写真右)とC&Fロジの綾社長(写真左)が登壇し、友好的なムードを強調した。両社は、2022年8月に佐川急便がC&Fロジ傘下の名糖運輸に飛脚クール便の一時保管や流通加工業務を委託したことから協業を開始。以降、取扱数量は拡大傾向にあり、今春には双方の人材交流についての対話を開始していたという。松本氏は「そうした折に、AZ‐COM丸和がTOB実施を表明したことで、当社としてもWin‐Winの関係になれる大切なパートナーであるとの認識のもと、TOBの検討を開始した」と経緯を説明した。

両社の事業領域については「C&Fロジはサプライチェーンの上流から中流、SGHDは下流のラストワンマイル領域を得意としており、重なる部分が少なく、相互補完できる領域が広い。両社の強みやナレッジを有機的に結び付けることで、国内屈指の一貫コールドチェーンを構築できる」とシナジー創出に自信を見せた。具体的には、食品EC市場やふるさと納税市場、アジア向け食品輸出市場などでシナジーが想定できるとしたほか、新規事業分野としてメディカル関連物流も挙げた。

AZ‐COM丸和の提案は「顧客離反リスク拭えず」

一方、C&Fロジの綾社長は、SGHDによる買収提案について「複数の提案者の中で最も高額で、内容も優れた提案だった」としたうえで、「当社の事業への理解の深さや、中長期的な成長に向けたシナジーが見込めること、お互いの強みや資産、ノウハウを融合して取り組んでいこうとする姿勢に共感した」とTOBに賛同した理由を説明し、「今後も、低温物流のリーディングカンパニーとしてこれまで以上に社会に貢献していきたい」と意気込みを語った。

他方、AZ‐COM丸和の提案に対する反対理由については、AZ‐COM丸和側がシナジーのひとつとして主張する物流拠点「AZ-COM Matsubushi」での協業が食品卸や問屋の関与を低下させるものであり、大口顧客の離反を招く懸念があること、また、AZ‐COM丸和側に対して懸念に関する説明を求めたものの、懸念を払しょくするに足りる説明が得られなかったことなどを挙げた。

「資金回収、簡単ではない」との声も

提案価格に大きな開きがあることに加え、C&Fロジが賛同を表明している「事実上のホワイトナイト」(関係者)であることから、争奪戦の軍配がSGHDにあがることはほぼ確定的な情勢だ。しかし、C&FロジHDの24年3月期の連結売上高は1160億円、営業利益は47億円であり、連結売上高1兆3169億円、営業利益892億円(24年3月期)を誇るSGHDのトップラインや利益を短期で引き上げることは期待しにくい。物流業界関係者からは「全株式を取得した場合の総額はC&Fの売上高を上回っており、投下資金の回収はそう簡単ではない」との声も聞こえる。
(2024年6月6日号)


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