プロロジス、「24年問題」対応型施設の開発加速へ
今年創業から40周年を迎えたプロロジスは25日、米本社のハミード・R・モガダム会長兼CEO(写真右)がコロナ禍後初となる来日を果たし、日本法人の山田御酒会長兼CEO(写真左)とともに現在の事業環境や今後の事業方針について記者発表を行った。その中で山田氏は、「2024年問題」に対応した中継拠点機能を備えた物流施設を岩手県盛岡市、愛知県東海市、岡山県岡山市で開発を進めているとした上で、今後も静岡や九州、北海道、日本海側などで開発に向けた検討を進めていく考えを示した。
会見ではまずモガダム氏が、グローバル市場におけるプロロジスの現状について説明した上で、ECの旺盛な伸びが引き続き物流施設需要をけん引していくとの見方を示すととともに、サプライチェーンコストの総額に占める施設賃料の割合の低さも需要を押し上げる要因になると述べた。
さらに、将来に向けた事業領域の拡張にも言及し、顧客企業が抱える課題を解決するためのプラットフォーム提供に注力していく考えを示した。現在、「プロロジス・エッセンシャルズ」と名付けたプラットフォームを「運営」「エネルギー&サステナビリティ」「モビリティ」「雇用&自動化」の4つの領域で展開しており、それぞれ専門的な知見やテクノロジーを持つベンチャーやスタートアップなどと協創しているとした。
続いて、山田氏が日本市場を取り巻く事業環境や取り組みを紹介。「2023年は先進的物流施設の新規供給量が過去最大となる見通しだが、当社の推計では国内の全倉庫・物流施設のうち先進的な施設の割合は12~15%程度にとどまっており、まだまだ開発余地がある」との考えを示した。欧米に比べ伸長余地が大きいEC化率が引き続き成長ドライバーになるとしたほか、新耐震基準前の老朽化施設の更新需要も物流施設需要をけん引すると述べた。
また、「2024年問題」への対応策として、輸送距離を短縮するために物流拠点の分散化が加速するとの見方を示し、中継拠点としてのニーズに対応した施設として「プロロジスパーク盛岡」(岩手県矢巾町、延床面積9万9592㎡)を来月竣工するとした。さらに、愛知県東海市に「プロロジスパーク東海1」「同2」、岡山市に「プロロジスパーク岡山」を25年から26年にかけて竣工するとしたほか、静岡、九州、北海道、日本海側エリアでも同様の施設開発を検討していることを明らかにした。山田氏は「従来、地方の物流施設はBTS型の専用施設が中心だったが、今後は複数企業が中継拠点として利用するマルチ型施設が増えていく可能性がある」と述べた。
このほか、ラストワンマイル拠点としての利用などを想定した都心型施設「プロロジスアーバン」については、「これまで東京23区内に6施設を開設してきたが、さらに都内で2~3施設の開発を検討している」と述べ、引き続き東京を中心に開発していく考えを示した。
(2023年10月31日号)