6割の荷主が「共同利用システム必要」=国交省/パレット実態調査
国土交通省は1日、第7回パレット標準化推進分科会を開催し、荷主企業を対象に実施したパレット利用実態調査の概要を発表した。鉄鋼業などパレット利用にそぐわない業種を除き、業種ごとに調査した。現時点では224社の回答を集計した。
輸送7割、保管9割でパレットを利用
それによると、輸送・保管時のパレット利用率(パレット化率)は、自社の工場・事業所・店舗など社内の施設への輸送では73・8%、顧客の施設など社外の施設への輸送では74・7%、保管では89・5%だった。14業種のうち日用品・化粧品、化学工業・プラスチック製品製造業・合成染料製造業、青果業など11業種は社内施設への輸送のほうがパレット化率が高かった。
一方、保管する貨物の出荷時には、59%がパレットのまま輸送されているが、41%が別のパレットへの積み替えやバラ積みなどの手荷役が発生していた。これについて委員からは積み替え作業をなくす観点から、輸送を視野に入れた保管用パレットの運用が重要だとする指摘があった。
共同利用・共同回収システムの普及・拡大について「必要」が66%、「必要ではない」が26%、「わからない」が8%で3分の2が必要性を認めていた。必要とする理由は「利用者が増えることでパレット利用の費用が削減される」「利用者が増えると効率的な利用が可能となり資源投入量が少なくなる」が多くの業種で過半数を超える回答だった。
輸送用の3割でレンタルパレットを活用
輸送に使用しているパレットの調達方法では、31・8%がレンタルだった。利用割合の高いレンタルの平パレットのサイズは、1100×1100㎜、1100×1400㎜、1100×1300㎜の順だった。1200×1000㎜は、使用している場合はレンタルの利用割合が高い業種が多いが、最も利用の多い加工食品・冷蔵冷凍食品など食品業でのレンタルの割合が低いため、全体のレンタル利用率は低くなっていた。
パレットの回収は、荷主が自社の費用で自ら行い、20枚程度の少量や、随時回収などのケースが多いと推測される。
パレットの普及促進に向け、企業間で取り組みが可能だと思われる方策案は「パレット単位での発注の促進(パレットを利用した場合の割引の適用)」が最も多く、過半数を超える回答数となった業種が多かった。
国交省では調査結果を踏まえ、5月に開催する次回会合で共同運用のあり方について議論を行う。また、標準化を推進する際の課題について、関係者間での共通認識を明確化し、荷主、物流事業者、レンタルパレット会社など関係者の責務や取り組みの方向性を議論することとしている。
(2023年3月9日号)