ランテックが冷蔵倉庫の新増設、24年度以降に加速
センコーグループホールディングス傘下で食品低温物流事業を展開するランテック(本社・福岡市博多区、嘉永良樹社長)は2024年度以降、冷蔵倉庫の新増設を加速させる。24年度と25年度に各2拠点の開設を計画し、食品低温小口輸送サービス「フレッシュ便」に伴う保管需要の高まりに応える。また、新増設拠点は自動倉庫を基本とすることで、冷蔵倉庫現場における人材確保の困難化にも対応。さらに、一部の拠点はセンコーの常温倉庫と併設させ、同社と連携したドライ・低温物流業務の一括受託も見込む。
湘南支店に約7000PL収容の自動倉庫新設
まず、24年4月に「南九州支店」(宮崎県三股町)を移転新設する計画。現在は6579㎡の敷地に冷蔵管理の荷捌き場717㎡と冷凍庫122㎡を構え、主にフレッシュ便の中継拠点として運用しているが、施設の老朽化・狭隘化や、保管ニーズの高まりに対応するため、新たに同県都城市に用地を取得して、新施設(完成予想図)を建設する。
移転新設後の南九州支店は、敷地面積2万2210㎡、延床面積9942㎡の鉄骨造2階建ての冷蔵倉庫となり、うち倉庫棟は7269㎡、事務所棟は2673㎡。保管能力は冷凍が4095PL、冷蔵が50PLの予定で、1階には大型車7台、中小型車17台分のトラックバースを備える。場所は宮崎自動車道・都城ICから1分の好アクセスで、現在の南九州支店からも車で10分ほどの立地。アクセス性の良さを活かし、保管から配送に至る低温一貫物流サービスを提供する。
南九州支店に続き、9月には「湘南支店」(神奈川県伊勢原市)の既存敷地(2万8240㎡)内に自動倉庫を増設する。現在は2階建ての冷蔵倉庫(延床面積9638㎡)1棟を稼働し、1階荷捌き場(4660㎡)をフレッシュ便の中継拠点として運用するとともに、1階の一部と2階の倉庫エリア(冷凍庫4720㎡、冷蔵庫258㎡)で保管ニーズに対応するが、フレッシュ便の荷主企業などから寄せられる旺盛な保管需要に応えるため、冷凍自動倉庫を開設することとした。
新設する自動倉庫はマイナス25℃管理で、収容能力は約7044PL。1階にはプッシュバックラック(パレット流動棚)114棚を備えるとともに、トラックバース17台分を設置する。入出庫作業の省人化に加え、24時間365日の出庫に対応することで顧客サービスの向上にも寄与。場所は東名高速道路・厚木ICおよび新東名高速道路・厚木南ICから車で10分圏内にあり、圏央道や西湘バイパスへのアクセスにも優れるなど、関東全域および西日本への輸配送拠点として好立地となっている。
なお、湘南支店の敷地内には、1階を車両整備場、2階を剣道場とした新施設も建設中で冷凍自動倉庫の開設に先駆け、今年4月の完成予定にある。
2新拠点でセンコーと同居、営業面などシナジー発揮
25年度は4月に、センコーグループの開発物件に「新埼玉支店」を開設する計画。センコー不動産が4万7346㎡の敷地に5階建ての大型物流拠点を建設し、同施設の北側半分にあたる3万3100㎡をランテックが使用する。庫内には冷凍自動倉庫(マイナス25℃管理、1万700PL)を導入するとともに移動・固定型の平置きスペース(5296PL収容可能)を確保。設備面では、垂直搬送機4基とエレベータ1基を備え、バースは48基分を用意する。
建物は2階までトラックで直接乗り入れ可能となることから、1階をフレッシュ便の中継拠点とし、2階も外食や量販顧客などの出荷バースとして活用する予定。4~5階の上層階を保管庫とし、3階を自動倉庫などのピッキングステーションとして運用する見通しにある。場所は東北自動車道・浦和ICの西側で既存の「埼玉支店」(川口市)から北へ約10㎞の立地。建物屋上には太陽光パネルを敷設するほか、敷地内に待機レーンも十分に用意し、従業員確保のため約360台分の乗用車駐車場も完備する計画としている。
さらに同月には「浜松支店」(浜松市北区)の稼働も予定。同所もセンコーと共同の施設となる見込みで、延床面積7283㎡、鉄骨造4階建ての冷蔵倉庫(事務所棟は2階建て)を新設する計画にある。1階をフレッシュ便の中継拠点とした上で、マイナス25℃管理の冷凍自動も導入し、総保管パレット数は5506PLとなる。
東海地域は、既存の「静岡支店」(静岡県藤枝市)や「名古屋支店」(愛知県小牧市)、21年開設の「名港支店」(名古屋市港区)が手狭になっていた。併せて、浜松地区は近隣の静岡支店と名古屋支店から100㎞以上の距離があり、ドライバーの拘束時間にかかるコンプライアンス対策も目的のひとつとして、新拠点の開設を決めた。
浜松支店と新埼玉支店では同一施設に入居するセンコーと連携した提案営業も行いたい考え。両社の荷主企業が扱うドライおよび低温管理の物流業務を一括で受託し、顧客利便性の向上につなげる。ランテックの原弘規常務は「冷蔵倉庫は港湾地域を中心に業界全体で庫腹のひっ迫が続き、当社の施設もどこも満庫状態で新しい仕事を受けられなかったため、保管能力の増強に向けて用地を探していた」とした上で、「新施設ではセンコーともシナジーを発揮していきたい」と展望する。
(2023年3月9日号)