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東海運、ISOタンクコンテナ国際輸送事業に参入

2023.02.21

東海運(本社・東京都中央区、松井伸介社長)は、ISOタンクコンテナの国際輸送事業に参入する。東南アジア最大のタンクオペレーターであるISO TANK MANAGEMENT PTE LTD(ITM社)と日本代理店契約を1月に締結した。昨年からスタートさせた、世界シェアトップのフレキシタンクメーカー・販売会社の日本代理店業務と合わせて、液体輸送のソリューションを拡充。北九州地区で展開している危険物マルチワークステーション(MWS)事業とのシナジー創出も目指す。

液体輸送サービスのソリューションを拡大

東海運は1985年から北九州・太刀浦地区で危険物倉庫を展開しており、2016年にタンクコンテナ関連事業を開始。同地区で実入りのタンクコンテナを保管できる危険物屋外貯蔵所と一般取扱所を開設し、加温や荷姿変更のサービスを開始した。19年4月には、北九州・新門司地区に用地を確保し、危険物MWS(写真)を開業。危険物倉庫、タンクコンテナ保管施設、インランドコンテナデポ、加温および荷姿変更施設など各種機能を備え、ワンストップサービス体制を構築。タンクコンテナについては、新門司地区に実入り96基を貯蔵できる体制を整えている。

荷姿がドラム等の「個品」の取り扱いに加え、「バルク」の液体輸送強化を模索する中、21年12月には世界シェアトップを誇るフレキシタンクメーカー・販売会社であるQingdao BLT Flexitank Solution Co.,Ltd.と日本代理店契約を締結し、翌年1月からフレキシタンクを使用した液体輸送サービスに本格参入。動植物油、非危険物の液体を輸送する顧客に対し、フレキシタンクによる液体輸送サービスを提案できるようになった。

そして、液体輸送のソリューションをさらに充実させるため、23年1月に、シンガポールのタンクオペレーター、ITM社と日本代理店契約を締結。タンクコンテナビジネスのコンサルティング等を手掛けるジェイ・トラッド(本社・東京都中央区、北野宣幸社長)の仲介で実現したもので、北野氏も同席のもと、ITM社との調印式が同社のオペレーション本部が置かれているマレーシアで行われた。今月1日から代理店業務を開始しており、すでに需要が旺盛なアジア域内での輸送や欧州向けの引き合いも多数あるという。

全世界にネットワーク、インドからの輸出に強み

E‐WAYグループ傘下のITM社は14年に設立され、フリート数は2万基。22年時点(1万4000基)では業界第11位にランキングされており、23年度のトップ10入りが視界に入っている。同社はマレーシアのオペレーション本部のほか、中国、フィリピン、タイ、インドネシア、インド、北欧州に自社拠点を配備。アジア・パシフィック、欧州、中東、アフリカ、北中米、南米など世界60ヵ国に代理店網を持ち、全世界をカバーするネットワークを構築している。

注目市場であるインドからの輸出案件を多数持つこともITM社の強みで、同国向けの輸送を積極的に展開。この5年間で東南アジアにおいて最もフリート数を伸ばしたタンクオペレーターで、2万基からさらなる増強も検討しており、3万基を目標としている。また、タンクコンテナの安全性の高さにも定評があり、フードグレードタンク、高圧ガスタンクなど特殊な貨物にも対応。同社はインドネシアでは自社トラック150台を保有し、東南アジアでの水平展開も検討している。

東海運はITM社の日本代理店業務を通じ、日本の化学メーカー、商社への営業を拡大。危険物MWSを活用し、タンクコンテナの保管、加温、荷姿変更といった関連サービスをワンストップで提供する。貨物の性質や顧客のニーズに合わせて、タンクコンテナ、フレキシタンクと最適なソリューションを提案できる強みがある。通関、ドレージ、倉庫といった機能や国内外のネットワークも活用しながら、液体輸送を国際輸送事業における重点分野と位置付け、事業の柱に育てたい考え。
(2023年2月21日号)


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