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世界のタンクコンテナ65万基に=ITCO20年度調査

2020.04.09

International Tank Container Organisation(ITCO、国際タンクコンテナ協会)が取りまとめた2020年度の「GLOBAL TANK CONTAINER SURVEY(世界タンクコンテナ調査)」によると、今年1月1日時点の全世界のISOタンクコンテナ基数は前年比7・8%増の65万2350基に拡大した。13年の調査開始から8年連続の増加となったが、伸長率は前年調査時の10・8%増に比べてやや鈍化し、新造タンクコンテナ基数も18年より少なかった。

調査書では、19年におけるタンクコンテナ基数の成長率鈍化の要因を「多岐に渡る産業の、世界的な貿易状況の低下による影響」と分析。米中貿易摩擦などを背景とした世界的な輸出入貨物の低迷が、タンクコンテナビジネスにも響いたと見られる。とはいえ、タンクコンテナの基数そのものは拡大傾向を維持しており、ドラム缶やケミカルタンカーからのシフトは引き続き堅調。加えて、中国では液体貨物の国内輸送用容器としてタンクコンテナの使用が大幅に増加し続けている上、アジア域内でも東南アジアを中心に「力強い成長を保っている」とした。

タンクコンテナ稼働基数の内訳は、オペレーターの所有およびリースが41万8500基(前年比9・6%増)となり、このうちグローバルオペレーター上位10社が運用するものは全体の56%(前年調査では59%)に当たる23万5019基だった。主要オペレーターの動向としては蘭Stolt Tank Containers(Stolt-Nielsen) が4万500基(前年比3・4%増)、独Hoyer Groupが3万4700基(2・4%増)、蘭Newport/Sinochemが3万2000基(0・1%増)、Bertschi Group(スイス)が2万5000基(7・2%増)と堅調に推移。とくに米Intermodal Tank Transportは25・9%増の1万7000基へと基数を伸ばした。

リース会社が所有するタンクコンテナ基数は30万5615基となり前年比6・8%の増加。上位10社が運用する基数は全体の79・5%(前年調査は82・0%)に当たる24万2984基となった。リース会社別に見ると、トップシェアの米EXSIFは6万4000基(9・4%増)、仏EUROTAINERは4万8500基(1・0%増)、Seaco Global(シンガポール)4万2000基(0・2%減)と続いた。このほか、米CS Leasingが1万5500基(53・1%増)へと基数を拡大するとともに、昨年EUROTAINERの親会社仏ERMEWAGroupが子会社化したRaffles Leaseも1万5100基(31・3%増)に増やした。

化学品メーカーなどの荷主企業が自社で運用するタンクコンテナ数(自社購入・リース調達含む)も18万8010基(4・3%増)へ増加した。
一方で、19年の新造タンクコンテナ数は前年比8・4%減の5万4650基へと縮小。18年の新造数は前年比23・0%増と大きく伸ばしていたが、世界情勢などの影響を受けてマイナスに転じた。内訳はリース会社がオペレーターの要求に応じて購入したものが大部分を占め、調査書では、こうしたリース会社のコンテナが利用可能になったことで、「自社でタンクコンテナを保有しない3PL・4PL事業者による市場参入が増加している」ことも指摘された。

19年もコンテナの主要生産地は中国で、各コンテナメーカーの生産状況は最大手の中CIMCが2万7000基(8・4%減)、中Nantong Tank Containersが8500基(増減なし)、Welfit Oddy(南アフリカ)が5150基(6・1%増)だったが、中Singamasは3500基(36・3%減)へと減らした。
19年のタンクコンテナ廃棄数は前年と同じ7000基だった。
(2020年4月9日号)


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