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ISOタンクコンテナ事業を本格化=上野グループ

2019.12.12

上野グループ(本社・横浜市中区、上野孝代表)では、ISOタンクコンテナ事業と危険物倉庫事業を本格化させる。昨年設立した新会社上野ロジケム(本社・横浜市中区、中村哲郎社長)が世界第4位のISOタンクオペレーター、BERTSCHI Global AG(スイス)と日本総代理店契約を結び、7月から営業を開始。12月には、横浜市鶴見区安善町で危険物倉庫6棟を稼働させた。150年の歴史を持つ上野グループが石油輸送で培ってきたノウハウを活かし、成長が見込まれるタンクコンテナによる国際複合一貫輸送と危険物倉庫に業容を拡大し、ケミカルを中心とした顧客の幅広いニーズに対応するとともに、国内外のグループ事業とのシナジーを創出していく。

新会社上野ロジケムが新規事業の先駆けに

1869年に廻船問屋として創業した上野グループは、上野興産(本社・横浜市中区、上野元社長COO=写真)をホールディングカンパニーとする企業グループで、石油製品やケミカル製品の輸送、貯蔵、販売を手掛ける。グループは石油製品、ケミカル製品のタンカー輸送が主力の上野トランステック(本社・横浜市中区、上野孝会長兼社長CEO)を中核とした36社で構成され、海外ではシンガポールとフィリピンで事業展開している。

国内石油需要の減少や石油元売業界の再編などの昨今の厳しい市場環境を踏まえ、近年、経営基盤のさらなる強化に向けた新規事業の創出に注力。その一環として、2018年11月に新会社上野ロジケムを設立した。新会社では上野グループのさらなる成長を担う新規事業の先駆けとして、タンクコンテナによる国際複合一貫輸送と危険物倉庫の運営を2本柱に展開していく。

5日に本紙記者と会見した上野興産の上野社長COOは、「上野グループは歴史の交差路に立っている。英語の交差路“CROSSING”のC(Chemical)、R(Renewable Energy)、O(Overseas)、S(Safety)、S(Storage)、I(IT&IoT)、N(New Energy)、G(Gass)は、この先のグループの200年に向けた重要なキーワードを示す」と話す。

鶴見区安善町で危険物倉庫6棟の運営開始

新会社上野ロジケムの2つの事業は、Chemical(ケミカルの取り扱い)とOverseas(海外展開)、Storage(保管)の3つにフォーカスしたもの。2月にタンクコンテナの取り扱いを得意とする物流コンサルタント、ジェイ・トラッド(本社・東京都中央区 北野宣幸社長)の仲介を経て、BERTSCHIとの総代理店契約を締結。7月から開始したタンクコンテナの輸出入業務では液体危険物、ケミカル製品等を中心にNVOCC(非船舶運航事業者)としてアジア、北米、南米、中東、オセアニア、ヨーロッパへのドア・ツー・ドアの輸送を展開する。

また、横浜市鶴見区安善町に建設した危険物倉庫6棟(鉄筋造平屋建て、計5832㎡)は、野外貯蔵所(1万445㎡)、総合集積所(1652㎡)を備え、消防法危険物第4類第2、第3、第4石油類に対応。一部は保税蔵置場とし、輸出入貨物も扱える。京浜地区では慢性的に危険物倉庫スペースが不足していることから引き合いは旺盛で、今後の増設や定温倉庫への対応も視野に入れている。

ISOタンクコンテナ関連事業の拡大も検討

なお、BERTSCHIは、タンクコンテナのフリート数が2万3300基と世界第4位のシェア。38ヵ国76グループ会社のグローバルネットワークを持ち、スイス本社のほか北中米(ヒューストン)、南米(サントス)、中国(上海、天津)、アジア太平洋(シンガポール)、中東(ジュベイル、ドバイ)を国際輸送の中心拠点とし、主に欧米のケミカル、石油荷主に対しドア・ツー・ドアのサービスを提供している。

タンクコンテナは24KLと26KL(同型で防波板付も多数保有)の2つのタイプで、業界基準でも最も高い水準。歩み板も全面に取り付けるなど安全性も充実している。昨今、シンガポールのジュロン島で保税危険物倉庫を拡充しているほか、中国、ベルギーでもタンクコンテナの保管にも対応した危険物のハブを増強。上野グループとの協業により日本をはじめとするアジアでの事業基盤強化が期待できる。

上野グループでは、シンガポールに設立したOXALIS HOLDINGS PTE.LTD.を通じて、17年に同国でタンクローリーによる石油輸送のシェアトップのWATT WAH PETROLEUM HAULAGE PTE.LTD.(WATT WAH)をグループ化。今後はシンガポール他、東南アジアでBERTSCHIとの協業可能性も探る。また、国内では保有資産を活かしたタンクコンテナ関連事業の拡大も検討していく。
(2019年12月12日号)


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