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ニチレイロジG本社、電力料金サーチャージの収受開始

2022.12.13

ニチレイロジグループ本社(本社・東京都千代田区、梅澤一彦社長)は来期にかけて電力料金の高騰が継続することを見込み、電力料金サーチャージの収受を重点課題に据える。10月以降、段階的に収受を開始しており、年明け早々を目途に大半の顧客に順次適用される想定。6日に開かれたニチレイの年末社長会見で梅澤社長(写真)が意向を示したもので、「これまでの電力料金水準を大きく上回って推移しており、自助努力で全てをまかなうには難しい状況」として理解を求めた。

電力料金サーチャージは、電力料金高騰が先行した欧州の現地法人でスタートし、国内も今期(2023年3月期)から順次導入。「あくまで物流品質維持と事業の安定継続へのお願いで、概ね大半のお客様に仕組みそのものが合理的であると評価され、耳を傾けていただいている」(同)として、下期から収受がスタートしている。

サーチャージの適用方法は、保管賃に対する一定程度のフィーを付加し、荷主企業への負担を求めるかたち。電力会社が公表する燃料費調整単価と冷蔵倉庫の原価構造をもとに計算式を策定。21年の数字をベースに据え、基準値を超える期間は課金し、下回れば適用しない。

なお、一部の荷主企業からは、「電気料金に応じて変動すると予算化しにくく、保管賃そのものの改定で適用してほしい」などの要請があるほか、通過高を基準にセンターフィーが決められる業務では商品単価の値上げ分で電力料金の上昇分が吸収されているケースもあり、「そうした特殊な事例は除いて適用している」ことも報告した。

新輸送システムSULS今期末には15台体制へ

国内では「2024年問題」を目前に控え、運べなくなるリスクの解消に向けた次世代輸配送システム「SULS」(サルス)の運行も拡大する。荷台部分が切り離しできるトレーラを活用した輸送の仕組みで、今年5月から東名阪の幹線輸送で4台を稼働したが、今期末には15台を確保する計画。幹線輸送のみならず域内の輸配送にも導入していく。トレーラ1台に24パレットを積載可能で、トラクタヘッドを高回転で使用できることからドライバー一人当たりの輸送量増大に寄与し、「スタートとしては順調」という。
また、23年4月には、全国輸配送機能を持つロジスティクス・ネットワークと関東の港湾物流機能を保有するニチレイ・ロジスティクス関東を新生「ロジスティクス・ネットワーク」へ統合。首都圏の事業基盤を強化し、各拠点の特性を活かした貨物再編と拠点間連携によるシナジー創出を進める。

下期以降の荷動きとしては、国内で新型コロナ第8波への懸念はあるものの、足元は行動規制の緩和から関東・関西を中心に荷動きの活発化が見込まれ、冷凍食品の出荷や輸入貨物の搬入も好調。こうした需要を着実に取り込み、計画数値の達成を目指す。海外は上期に続き欧州・中国ともに厳しい事業環境にあるが欧州で前期に実施した複数物流拠点の増設や現地企業の買収効果発出を図るとともに、中国では日冷物流投資(上海)を中心に高品質物流サービスのエリア展開を推進。アジアにおいてはタイ物流センター増設による集荷拡大やマレーシア出資会社の連携強化を進める。
(2022年12月13日号)


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