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30年度トラック輸送力は3割減に=国交省・経産省・農水省

2022.11.17

国土交通省、経済産業省、農林水産省の3省は11日、第3回「持続可能な物流の実現に向けた検討会」を開催した。会議では「物流の2024年問題」が与える影響について追加報告を行った。それによると2024年4月から「改正改善基準告示」が施行されることでトラックの輸送能力は19年度対比で14・2%不足する見通し。また、ドライバー不足の進行により30年度のトラック輸送力は19・5%(輸送量5・4億tに相当、19年度対比)が不足する可能性があるとした。

人員不足で25年度は1割強、30年度は2割の輸送力減に

NX総研の大島弘明取締役は24年4月からの改正改善基準告示の施行が物流に与える影響について前回発表した数値を若干修正。全体で不足する輸送能力の割合は19年度比で14・2%となり、不足する営業用トラックの輸送トン数は4・0億tに相当すると報告した。

今後のドライバー不足の深刻化や営業用トラックの輸送量の推移を踏まえた上での輸送能力不足(19年度対比)の試算では、25年度の輸送能力は13・4%(3・7億t)、30年度は19・5%(5・4億t)とそれぞれ不足するとした。「2024年問題」の影響で1割強が目減りするだけでなく、30年度にはドライバー不足で2割が減少すると推定された。両方の影響を合わせると輸送能力の34・1%(9・4億t)が不足する可能性が指摘された。大島氏は「2024年問題」の影響による輸送能力の減少分は、荷待ち時間と荷役時間の削減を行うことで解消できると指摘。「荷待ち時間の発生している運行(全体の24%相当)のすべてで荷待ちを18%削減するとともに、荷役時間について全体の運行の30%で10%削減することで、輸送能力の不足分の解消が見込まれる」と説明した。

改正改善基準告示の影響で発荷主に不足する輸送能力についての試算結果も発表。農産・水産品出荷団体が32・5%と最も不足する割合が高く、特積みが23・6%、元請運送事業者が12・7%、紙・パルプ(製造業)が12・1%と続いた。

提言取りまとめに向け、課題を見える化

将来の輸送能力不足が定量的に示されたことを踏まえ、検討会ではトラック輸送力確保を図る方策の提言を急ぐ。年度内に報告書としてまとめる方針で、今回の会合では事務局が多様な物流課題とそれに対応する行政の取り組み(法令、ガイドラインなど)を整理し、図表の形で公表した。加えて、提言には事業者の優れた取り組みの内容も反映させる考えがあることから、今回の会議では、JA全農、ユニリーバ・ジャパン、日本通運、トランコムの4者が安定的な物流構築に向けたそれぞれの取り組みを報告した。
(2022年11月17日号)


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