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日販、首都圏配送コース再編で10月から第3弾

2022.10.25

日本出版販売(日販、本社・東京都千代田区、奥村景二社長)では、サプライチェーン改革の2本柱の施策のひとつである「配送コース再編」が着実に進んでいる。先行する首都圏エリアでは、10月に第3弾を実施。運送会社や取次各社とともに、取引先の協力を得ながら、最も効率が良くなる配送コースへと組み替え、取次各社との共同配送エリアの再編も検討する。19日に発表した出版流通改革レポートで明らかにした。

出版配送は複数の荷主がいる中、業界全体でルール化して運用し、日本全国にほぼ毎日、膨大な量の出版物を計画的に運ぶことができる稀有な配送網を構築している。しかし、社会全体のドライバー処遇改善の動きや出版市場縮小による流通の効率悪化に伴い、これまで維持できていた全国への出版配送の維持が困難になっており、こうした状況を打破するため、日販ではとくに効率が悪化している現地配送の効率改善を目的として、配送コースの再編に取り組んでいる。

運送会社との取り組みでは、4月の出版輸送に続き、第2弾として、7月に大高運輸の神奈川県(横浜市・川崎市の一部)、ライオン運輸の東京都(港区・中央区・足立区など)のコース再編を実行。取引先の理解と協力により、計51コースを42コースに削減(17・6%減)した。これにより、同エリアではトラックの走行距離、積載率ともに改善。人件費や燃料費など社会的コストが上昇し、業量減少による配送効率が悪化する中で、運送会社と連携して効率向上を目指した結果、コストアップの一部を抑制できた。

第3弾として、10月11日から出版輸送の東京都(中野区・杉並区など)のコース再編を実行し、23コースを19コースに削減(17・4%減)する新ダイヤグラムでの運用を開始。今年度累計では、首都圏235コースのうち107コースと約半数のコースで再編を行い、約2割のコースを削減。CO2排出量の年間削減効果は、首都圏エリア全コース再編完了後目標の541t‐CO2のうち、272t‐CO2(50・3%)となった。名古屋・関西エリアについては、新ダイヤグラムの確定と今年度中の各1エリアの再編を目指し、運送会社と継続して協議している。

業量減少のスピードにサプライチェーン改革が追い付くため、取次各社との共同配送エリアについてもコース再編に向け、トーハンをはじめ取次各社や運送会社と継続して検討を行っている。先行エリアとして、カンダコーポレーションと実行への協議を進めており、「運送会社目線で効果のあるコース再編を実現するため、単純なコースの削減にとどまらず、トラックおよびドライバーの稼働時間を効率化していくことも目指す」としている。

サプライチェーン改革のもうひとつの柱である配送のオープン化については、空きトラック活用や、運送会社の既存他商材との同送により、運行効率を維持することを目指している。他業種のメーカー・卸など約20社と検討を進めているが、各企業と出版輸配送の様々な条件が合わないことがネックとなり、現時点で成約には至っていない。今後も協議を継続し、今年度中の成約を目指すとともに、さらなる出版業界のルール緩和について、ステークホルダーに提示する準備を進めていく。
(2022年10月25日号)


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