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「道路貨物運送業」を重点立入業種に=公取委/中企庁

2022.06.07

公正取引委員会と中小企業庁は5月31日、価格転嫁状況をモニタリングする重点立入調査の対象業種として「道路貨物運送業」など4業種を指定した。労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案の発生が見込まれると判断された。「道路貨物運送業」は2021年度における下請法上の「買いたたき」の処理状況で、製造業以外の業種全体の2割超を占め、その他を除くと最多となるなど親事業者による法違反が多く認められる。公取委と中企庁では、事業所管省庁と連名で、事業者団体に対し傘下企業において法遵守状況の自主点検を行うよう要請していく。

新たな仕組みで業種別の法遵守状況を点検

中小企業等が労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁し、賃金引上げの環境を整備するため、昨年12月に「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」を策定。その中で、業種別の法遵守状況の点検を行う新たな仕組みの創設が表明された。

具体的には、関係省庁から情報提供や要請のほか、公取委ホームページの「違反行為情報提供フォーム」からの情報に基づき、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれる業種について、重点立入業種として毎年3業種ずつ対象を定め、立入調査を行うこととした。

今回、21年度の下請法上の「買いたたき」の処理状況のほか、「価格転嫁円滑化スキーム」に基づく関係省庁からの情報提供の結果などを踏まえ、重点立入業種として、「道路貨物運送業」「金属製品製造業」「生産用機械器具製造業」「輸送用機械器具製造業」の4業種を選定し、公表した。

「買いたたき」の最多は貨物運送業、全体の2割

下請法違反被疑事件の処理状況、荷主と物流事業者との取引に関する調査結果に基づき、事例、実績、業種別状況等をまとめた「価格転嫁に係る業種分析報告書」も公表した。下請法違反被疑事件の処理状況・業種別状況のうち、「買いたたき」では、「道路貨物運送業」は175件(22・8%)と製造業以外の業種(その他除く)で最多となった。

親事業者による下請事業者への買いたたきの事例としては、「燃料価格上昇分の取引価格への反映を求められたにもかかわらず、運送料金は荷主との間で既に決まっており、荷主の業界の景気が悪い状況で下請事業者に利益を還元することは困難であるとし、十分に協議をすることなく一方的に従来どおりに取引価格を据え置いていた」などが挙げられる。

また、独占禁止法に基づく荷主と物流事業者との取引に関する調査では、注意喚起文書を送付した荷主641人の分析を行った。その他を除くと製造業では食品製造業、生産用機械器具製造業、化学工業が上位に並び、卸売業・小売業では建築材料、鉱物・金属材料等卸売業、機械器具卸売業、飲食料品卸売業が上位1~3位を占めた。
(2022年6月7日号)


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