JILS、ロシア・ウクライナ情勢でアンケート
日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)は3月30日、アンケート速報版「ロシア・ウクライナ情勢によるSCM、物流への影響」を公表した。回答者の4割程度が、経営に対するインパクトがあるとしており、当該地域におけるビジネス以外にも、欧州向けビジネスへの影響や原油価格の高騰等の影響が懸念されている。
調査は3月18~25日にかけてJILS会員企業(製造業、流通業、物流業)900社を対象に行われ、有効回答社数は105社(回答率12%)だった。
経営(売上、利益等)における今般のロシア情勢の影響度については、製造業では影響が「大きい」「ある」「少ない」を合算すると87%となり、何らかの影響を与えているという観点からは、製造業へのインパクトが最も大きかった。物流業では、「ある」と「少ない」を合わせて84%だった。
「2021年度の影響は現時点では算出が困難であり、状況を多角的に分析する」(製造業/精密機械器具)、「現状で直接的な影響は見受けられないが、今後の見通しは不明」(物流業/利用運送・物流管理)といった声がみられる。
ロシアのSWIFT排除等による商取引の影響も、製造業に大きなインパクトを与えている。対応としては、「ロシア客先向け製品の出荷停止と輸送途上品の返却」(製造業/輸送用機械器具)、「主に原料、輸入諸費用(主に船便)、原油価格に大きな影響をおよぼす」(製造業/食品)、「ロシア産水産品の輸入のストップ、代替国への切替え」(その他/外食)などが挙げられた。
ロシア現地事業の影響、対応については製造業のみの回答で、「活動再開」が39%、「事業停止」が6%、「検討中」が39%。影響を受けている自社の製品・商品(複数回答)では、自動車、食品が23%と最多で、産業機械(18%)、家電・電気(16%)が続く。輸送途上のロシア向け貨物の荷降ろし(予定)については「他国で降ろす」が過半数を超え、次に「積地に持帰る」が多い回答結果となった。
(2022年4月5日号)