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センコー、25mダブル連結トラックの出発式を開催

2022.02.01

センコー(本社・大阪市北区、福田泰久社長)は1月26日、フジテックの研修・物流拠点「東京フィット」(東京都大田区)で、25mダブル連結トラックの出発式を行った。導入したのは、長距離幹線輸送区間をダブル連結トラックとして運行し、切り離し拠点からは10t車とセミトレーラの2台に分かれて各荷主納品先へ輸送できる2セパレート方式の車両で、こうした運用は日本初の取り組みという。第1弾として、フジテックと旭化成ホームズの関東~関西間の輸送に2台を導入し、今月中旬をメドに運行を開始。さらに、センコーでは来期6台を追加導入する計画にあり、ドライバーの拘束時間とCO2排出量の“ダブル削減”に貢献していく。

旭化成ホームズとフジテックで共同輸送

今回導入された25mダブル連結トラックは連結装置(ドリー)式による連結・脱着で、トラクタ部分を10t車、トレーラ部分をセミトレーラとして単体で運行できる。トラクタ部分、トレーラ部分ともに内寸約10mの全長24・1mで、最大積載量はトラクタ部分が13・5t、トレーラ部分が12・4t、連結時は25・9t。車両はいすゞ自動車と日本トレクスが提供した。トラクタ部分で旭化成ホームズの内装部材を運び、トレーラ部分ではフジテックのエスカレータ・エレベータ部材を輸送。運行は関東向けと関西向けの毎日各1便、計2便を予定する。

関東向けでは、切り離されたトラクタ部分(10t車)が旭化成ホームズの「関西物流センター」(兵庫県尼崎市)で荷物を引き取るとともに、トレーラ部分(セミトレーラ)がフジテック「大阪デポ」(同)から集荷。両車両はセンコーの「阪神主管支店阪神車両センター」(同)にて連結。最寄りICから高速道路を走行し、新東名高速・浜松いなさICの路外駐車場(ドッキングステーション)で下りのトラックと運転手を交換する。その後、厚木IC至近のセンコー「厚木支店厚木ロジスティクスセンター」(神奈川県厚木市)で連結を切り離して、トラクタ部分は旭化成ホームズの「厚木物流センター」(同)へ、トレーラ部分はフジテック「東京フィット」へ配送する。連結・脱着にかかる作業時間は約20分ほどという。

関西向けも同様に、旭化成ホームズの厚木物流センターで荷物を積んだトラクタ部分(10t車)とフジテック東京フィットを出発したトレーラ部分(セミトレーラ)がセンコー厚木ロジスティクスセンターで連結され、高速道路を走行。浜松いなさドッキングステーションで上りのドライバーと乗り換えた上で、フジテック生産拠点「ビッグウィング」(滋賀県彦根市)で同所向けの荷物を降ろす。再び高速道路を走行し、センコー阪神車両センターで連結を切り離して、トラクタ部分が旭化成ホームズの関西物流センターへ、トレーラ部分がフジテックの大阪デポへ向かうスキームとなる。

年間運転時間を4割、CO2排出量3割削減

旭化成ホームズの輸送を担当していた10t車2台分の運行と、フジテックの輸送における10t車3台分の運行を25mダブル連結トラック2台へと集約したことで、ドライバーの年間運転時間は6440時間から3908時間へ約40%削減。年間CO2排出量も484・8tから321・6tへ約30%削減される試算となる。また、旭化成ホームズ単体では今回の取り組みで、同社の物流全体におけるCO2排出量約1%の削減を見込む。フジテックは現在、東西間で1日10台以上の10t車を運行していることから、センコーが来期以降に導入を予定するダブル連結トラックについても「利用を前向きに検討している」(同社)という。

なお、センコーでは昨年3月に、長距離幹線輸送の新サービスブランド「物流バス」を発表しており、今回の輸送もそのサービスメニューのひとつとの位置づけにある。

新技術によるチャレンジ、3社共同で推進

出発式でセンコーの大越昇専務は「これまで環境活動として物流センターへの太陽光パネル設置や船舶・鉄道モーダルシフトに力を注ぐとともに、トラックの大型化と共同輸送も推進してきた。EV車やFCV車も小型車は少しずつ導入しているが、大型トラックは開発が進んでおらず、今回、各社の力を借りてセパレート方式のダブル連結トラックという新しい技術を取り入れることになった」と述べた。

また、フジテックの中山忠久・物流本部長は「今回の車両導入は大きなチャレンジ。一緒に成功させていきたい。当社の彦根拠点(ビッグウィング)にはダブル連結トラックが連結したまま入構することになり、驚かれるとは思うが、喝が入ればいいなと思う。コロナ禍で気持ちが閉じこもりがちで、物流業界も様々な規制に縛られているが、このチャレンジが一石どころか大きな石として投じられることを期待する。閉塞感を打ち破り、新しい将来に向かって一緒に変革へ取り組んでいきたい」と展望した。

旭化成ホームズの橋徹・施工本部物流部長も「センコーは今期引き渡しを予定する7000棟の約8割の物流を担い、一番頼りになる会社で、色々と教えていただける会社でもある。世界的にも、環境問題への対応は喫緊の課題。物流はトラックを使う以上CO2排出の問題があり、なかなか対案を出しにくいが、今回、ダブル連結トラックを紹介され、非常に楽しみにしていた。今後、環境問題は企業にとって重要なポイントとなり、ともに次の世代につなぐ物流を目指していきたい」と期待を寄せた。

式典では記念撮影や記念品の贈呈、ダブル連結トラックの連結解除のデモンストレーションなどが行われた。
(2022年2月1日号)


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