鴻池運輸、AGF活用しトラックへの荷積みを自動化
鴻池運輸(本社・大阪市中央区、鴻池忠彦会長兼社長)は18日、飲料製品を扱う「神奈川綾瀬営業所(神奈川綾瀬配送センター)」(神奈川県綾瀬市)で、無人搬送車(AGV)と無人フォークリフト(AGF)の連携によるトラックへの荷積み自動化の取り組みを報道向けに公開した。三菱ロジスネクストと共同で、制御とセンシングに関する新たな技術を開発し、所定の駐車スペースに停車した任意のトラックに、AGF2台で積み込みを行う自動化システムを構築。変化する積載位置に応じてAGFが自らの判断で最適に稼働し、有人フォークリフト作業と同等の精度と時間でのトラックへの荷積みを実現している。
入庫から出庫までの完全自動化めざす
「神奈川綾瀬営業所」は大型自動倉庫を備え、保管能力は6万1180棚。フォークリフト作業者などの労働力不足を見据え、将来にわたって安定的な物流サービスを提供していくため、自動化・省人化を検討。自動倉庫という高性能設備と長年培ってきた設備保全力を活かすため、入庫から出庫までの完全自動化を発案した。2020年にトラック積み込み自動化構想を打ち立て、21年にプロジェクトをキックオフした。
具体的には、立体自動倉庫から出庫された荷物を、指定された場所で停止中のトラックに自動積み込みを行うこととし、完全自動化を最終目標に設定。積み込みスピードは、フォークリフト作業者による積み込み時間に匹敵する1車あたり「15分程度」とし、大型車、トレーラなど様々な車種への対応が可能で、トラックの入れ替え間隔を「30分」とする要求条件を定めた。
当初設計案では、AGV3台、AGF2台の組み合わせにより15分以内に積み込みを完了することを目指した。フェーズ0(21~22年)では、平滑・勾配なしの路面の設計、トラック駐車位置地上検出システムを導入し、まずはAGVを活用して、有人フォークによる積み込みを行い、作業を検証。フェーズ1(22~23年)では、AGF試作車1台を用い、リフレクター設置による位置確認機能などを検証した。
自動積み込み、多バースでの展開を計画
フェーズ2(23~24年)では、AGF製品車2台を導入し、3月15日から本格運用を開始した。速度が向上したため、AGVについては当初の3台から2台に減らして運用。自動倉庫からコンベアに運ばれた荷物をAGVが受け取り、AGFに引き渡し、AGFがトラックまで搬送。現在、パレットサイズに積み付けされた、養生を行わなくてもよい製品に限定し、AGFによる自動積み込みを行っている。
有人フォーク作業に匹敵する精度と時間でトラックへの荷積みを行うことができ、大型トラック(16パレット)1台に対し、15分以内で満載できる。18日の報道向け説明会では、12分30秒で積み込みが完了。AGFはサイドシフトにより隙間なく積み込みを行った。今後、フェーズ3では、現在1バースで行っている自動積み込みを多バースでの展開を計画している。
(2024年9月24日号)