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キユーソー流通、新中計は「成長・発展への3ヵ年」

2022.01.18

キユーソー流通システム(本社・東京都調布市、西尾秀明社長)は12日に開かれた2021年11月期の決算説明会で、今期(22年11月期)を初年度とする中期3ヵ年経営計画の詳細を明らかにした。計画では「成長・発展へシフトするための3ヵ年」と位置づけ、利益率向上を念頭に置いた体質強化を実現した上で、国内外における新領域への経営資源投入につなげる。新領域への参入例としては、温度管理技術をベースとした他社との協業による新たなプラットフォーム構築やASEAN事業のさらなる展開を想定する。

中計最終年度の数値目標は、売上高1820億円(21年11月実績比3・4%増)、営業利益55億円(51・2%増)、経常利益49億円(48・2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益25億円(60・1%増)。営業利益率は2・1%から3・0%へ引き上げる。説明会で西尾社長(写真)は「前中計では新規既存取引拡大や適正料金、海外連結化で収益力確保に取り組みながらも、省人化投資や新型コロナによる影響で売上・利益ともに計画に届かなかった。課題は第一に利益体質の強化と捉えている」との認識を示した。

その上で、中計3ヵ年のテーマには「徹底力で体質強化」を掲げ、①機能の強化②環境変化への対応③海外展開の基盤拡充④新領域への参入――を基本方針に据える。その意図については、「グループ総合力としての強みである『対応力』に加え、粘り強くやり遂げる『徹底力』で体質を強化し、新たな成長ステージに踏み出せるようにする」とした。

具体的には、まず「機能の強化」として、既存の経営資源を最大活用した利益率の向上を図る。「基盤の拡充」、「標準化・効率化」、「ネットワークの強化」の3点を戦略軸に置き、グループの各物流センターの在り方を確立するとともに、配送・輸送モードの最適化にも取り組む。ネットワークの強化に向けては、幹線輸送網のさらなる創出や都市部でのTCの構築、チルド日配物流ネットワークの拡大を進める。

「環境変化への対応」では、「働きやすい環境づくり」や「社会・環境への取り組み」、「ガバナンスの強化」を重点施策に据える。物流の持続性確保と働き方改革を目的とした輸送モードの変換にも継続して取り組む。西尾社長は「社会的価値と経済的価値の両輪のバランスが重要となるが、事業の持続性維持へ、環境面における体質強化もしっかりと進める」と述べた。

海外事業を重要な成長ドライバーと位置付け、「海外展開の基盤拡充」も推進。インドネシアではコールドチェーンを強みに保管貨物の拡大と配送ネットワークの確立、主要都市部の市場開拓を図る。「冷蔵庫を建てれば数日で満庫になる状況」(笹島朋有常務)であることから冷蔵倉庫の新増設も計画していく。中国・上海では各都市の機能拡充で「点から線へ、高品質な物流ネットワークを構築する」(同)。マレーシアやフィリピン、ベトナムへの進出も見据える。

「新領域への参入」としては、4温度管理可能な全国ネットワークと品質管理ノウハウを最大限活かし、食品に留まらず、温度管理を必要とする高付加価値物流の提供ができる体制を構築する。西尾社長は新領域への参入について「全国温度管理ネットワークをいかに活かすかが一番のポイント。様々なお客様から協業のお話をいただいており、年内には、『間違いなく新領域に進んだ』という状態にしたい」とコメント。笹島常務も「コロナ後を想定し、食品物流のノウハウを活かせる新領域に踏み込むことが当社の力になる」と強調した。

3ヵ年の設備投資予定額は230億円。更新投資と基幹システムへの投資が中心で、ネットワーク投資としては18年秋に約20億円で取得した神奈川県伊勢原市の用地(約2・2万㎡)への物流センター新設を最終年度に見込む。海外展開や新領域への投資は計画に織り込んでいない。

なお、中計3ヵ年におけるセグメント別の計画値は、共同物流事業が売上高1302億円(21年11月期実績比3・1%増)、営業利益26億円(63・4%増)、専用物流事業が売上高385億円(4・4%増)、営業利益15億円(20・4%増)、関連事業が売上高133億円(3・6%増)、営業利益14億円(79・6%増)を見込む。
(2022年1月18日号)


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