メニュー

23年度から荷主クラス分け評価制度導入へ=経産省/省エネ法

2022.01.06

経済産業省は2023年度から、省エネ法で荷主クラス分け評価制度を導入する方針を固めた。その前段として、「見なし積載率」や「見なし燃費」を見直し、21年度中に算定ツールの提供を試験的に開始。22年度の実績からエネルギー使用量の算定方法の適正化を踏まえた定期報告を行えるようにする。その上で実施する荷主クラス分けにあたっては、ベンチマーク目標や、その達成状況も評価に反映する。

省エネ取り組みを見える化しインセンティブを

貨物部門のエネルギー消費は、我が国全体のエネルギー消費の10%程度を占める。19年度時点で指定されている800超の特定荷主の定期報告書によると、エネルギー使用量は横ばいで推移しており、また、エネルギー使用量の算定法としては推計要素が多いトンキロ法の使用割合が約6割となっている。

エネルギー消費原単位の年1%改善目標に対し、全特定荷主の原単位平均改善率は年平均0・4%で、改善の程度は鈍化。業種内の事業者の多くが悪化している業種も存在するほか、原単位が悪化している荷主と改善している荷主との間で判断基準の遵守状況が異なるなど取り組みに差が生じている。

21年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画では、「荷主規制や貨物・旅客事業者規制については、指標となるエネルギー使用量に係る算定方法の違い等もあり、工場・事業場規制のように省エネルギー取り組みを適切に評価できていない」とされ、省エネ取り組みの評価・見える化と荷主・輸送事業者のインセンティブ強化が提起された。

そこで総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会荷主判断基準ワーキンググループでは、省エネ法荷主規制について、トンキロ法の見直し等のエネルギー使用量の算定方法の適正化や、クラス分け制度の導入等の特定荷主の省エネ取り組みの評価について関係団体へヒアリングし、その方策を検討した。

優良荷主を「Sクラス」として公表も

改良トンキロ法の「見なし積載率」の見直し、燃費基準の達成を考慮した改良トンキロ法の見直算定方法の見直しを行い、年度内にエネルギー使用量の算定告示を21年度に改正。22年度のエネルギー使用量の算定時から活用する。23年6月末を期限とする省エネ法定期報告書から報告を受けられるようにする。

22年5月から運用を開始するWebシステム「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS)」とも連動し、報告の集計を自動化するなど事業者の負担を低減することができるツールを21年度中に試験的に提供を開始。EEGSとの連携等の継続的な開発を進める予定。

エネルギー消費原単位の年1%改善とは別に、省エネ状況を事業者間で比較可能とするベンチマーク指標を設定し、中長期的に目指すべき水準(ベンチマーク目標)を設ける。エネルギーの使用に大きな影響を与える積載率については、これに影響を与える因子の関係性に関する分析を行い、ベンチマーク目標を設定することを検討する。

工場・事業場等における事業者クラス分け評価制度を参考に、目標を達成した荷主を優良な荷主(Sクラス)として経産省ホームページで公表することや、原単位が2年連続して悪化または5%以上悪化した荷主を省エネが停滞した荷主(Bクラス)として注意喚起を行う「荷主クラス分け評価制度」を荷主規制でも導入を目指す。
(2022年1月6日号)


関連記事一覧